大阪維新の会は4月の統一地方選で「大阪都構想」の住民投票実現を訴え、府知事、大阪市長のダブル選ともに勝利し、府議会では過半数を獲得、大阪市議会でも第一会派を維持した。都構想実現が現実味を増す中で、大阪の政治を20年間見続けてきたジャーナリスト、吉富有治氏は1日、ブックレット「緊急検証 大阪市がなくなる」(「140B」発行)を出版する。維新の政治と都構想の今後などについて吉富氏に聞いた。

 −維新の強さは。

 一つは大阪市の職員厚遇問題や第3セクターの経営破綻、府のりんくう開発の失敗など府と市の暗黒史のクローズアップ。改革は関市長の時代から始まっていたが、昔に戻すなというフレーズは強い。

 また万博の誘致にせよ、インバウンド(訪日外国人客)の増加にせよ、全てが維新の成果ではないがアピールが上手。加えて議員の活動量。トップ当選する議員は地道に活動しているし、選挙や都構想実現に向けては課題を洗い出し、解決策を見つけ、個々の議員に実行させる軍隊のような組織。維新はもはや新興勢力ではなく、盤石な既成政党だ。

 −維新は“ネオ自民党”と指摘している。

 もともと維新の出発点は自民であり、政策も近い。それだけに湾岸開発などで、かつての府市の失敗を繰り返す可能性がある。破綻原因はバブルの崩壊と需要予測の読み誤りで、二重行政のせいにしていると同じ過ちを犯す。

 −住民投票が実現する可能性は高い。市民のすべきことは。

 賛成派と反対派の対話。地味でしんどい作業だが肩肘張らず、居酒屋で2人からでもいい。(都構想の制度案をつくる)法定協議会で、(議論自体を拒否していた)自民も議論に参加し、メリットもデメリットも浮かび上がらせることだ。




大阪日日新聞 2019年6月1日
https://www.nnn.co.jp/dainichi/news/190601/20190601039.html