細菌で大腸がんを早期診断 大阪大らのチーム発表 便潜血検査との併用で精度向上も
6/7(金) 0:01配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190607-00000000-mai-sctch

 腸内細菌を使って大腸がんを早期診断する手法を開発したと、大阪大らのチームが米科学誌ネイチャー・メディシンに7日発表した。がんの発症初期にだけ大腸で増える細菌を特定できたためで、チームは「大腸がん検診に使われる便潜血検査と併用すれば、診断の精度向上が期待できる」と指摘する。

 大腸がんを巡っては、進行した大腸がんの患者では、歯周病の原因となる細菌が腸内で増加することが知られていた。一方、初期の大腸がんや、がんの前段階であるポリープに関係した細菌はこれまで特定されていなかった。

 チームは、大腸がんやポリープの患者と、健康な人の計616人の便に含まれる細菌を分析。大腸がんの初期段階に腸内で増え、その後は減少する複数の細菌を特定した。チームは「がんの発症で腸内環境が変化したため」と推定する。

 この結果を使い、患者の便に含まれる細菌を調べて大腸がんを初期段階から診断する手法も開発。便の中に血が混じっていないか分析し、大腸がんの可能性を調べる便潜血検査と併用すれば、診断精度が向上し、がんを疑われて大腸内視鏡を使った精密検査を受ける人を減らすことができるという。また、今回特定された細菌を増やさないように食事など生活習慣を見直して腸内環境を整えれば、大腸がんを予防できる可能性もあるという。

 チームの谷内田(やちだ)真一・大阪大教授(がんゲノム情報学)は「今後検証を重ね、腸内環境を変える細菌カプセルや抗生物質を使って、がんを予防できるようにしたい」と話した。【小川祐希】