札幌市、ヒグマ駆除後も苦悩 1週間に意見530件
8/21(水) 6:05配信

■「反対・抗議」が5割強
 
札幌市南区の住宅街に出没を繰り返したヒグマが銃器で駆除されてから21日で1週間。
市の対応に道内外から賛否の意見が相次ぐ。市内では依然としてヒグマの出没情報が続くものの、
侵入を防ぐ手だてに乏しく、市は対応に苦慮している。

市によると、ヒグマ駆除に関する意見は電話とメール、はがきの合計で20日までに530件に達した。
内訳は「反対・抗議」が5割強、「賛成」と「どちらでもない」が各2割ほど。
道外は反対・抗議が大半で、道内は賛成が多いという。

■狙われる家庭菜園、普及しない電気柵
 
今回被害に遭った南区藤野・簾舞(みすまい)両地区でヒグマが住宅街に居座るようになった要因の一つに、
プラムやリンゴ、トウモロコシなど家庭菜園の農作物が指摘されている。
南区はもともと果樹園の広がっていた場所で、ここに住宅地の開発が進んだ。
サクランボやリンゴなど当時の果樹が庭先などに残り、近年はクマを引き寄せる餌になっている。

専門家は有効な対策として電気柵を推奨するが、昨年からクマの出没が増えていたにもかかわらず、
備える世帯はわずかだった。

札幌市はクマ対策として、2017年度から家庭菜園用の電気柵を1年目に限り、無料で貸し出す制度を開始。
80セットを用意したが、貸し出しは17年度が28セット、18年度が65セットにとどまる。
19年度は20日までに約60セットを貸し出したが、半数はクマが連続して出没するようになった8月5日以降。
市は本年度、利用を呼び掛けるアニメを制作するなどPRに努めるが、
市は「自分の所は大丈夫と思う方もいる」(担当者)と、なかなか普及しないのが現状だ。

■続く出没、市だけでは難しい対策
 
クマが最初に出没した時点で、ゴム弾や花火などで威嚇し、追い払う手段もある。
しかし、逆に興奮させてしまう危険も伴う。市は「追い払いは、職員だけではできない」と警察と連携し、
車で森に追い返していたが、クマは餌を求めて何度も住宅街に戻ってきた。

札幌近郊ではクマの個体数が増えているとみられ、依然としてクマの出没が続く。
19日も札幌市南区、北広島などで目撃情報があり、20日は札幌市西区小別沢でクマによるトウモロコシなどの食害があった。

市は「札幌には山と接する地域が多くあり、市だけで対策を施すのは難しい。
電気柵の設置や生ごみの管理の徹底などを呼び掛けるしかない」と悩む。
北大大学院獣医学研究院の坪田敏男教授(野生動物学)は
「専門的な判断ができ、技術もある人を市が常時抱えておく必要がある」と話す。

8/21(水) 6:05配信 北海道新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190821-00010000-doshin-hok
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深夜に住宅街を悠然と歩くヒグマ=10日午前1時20分、札幌市南区藤野
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