ニュージーランドといえば、まもなく始まるラグビーワールドカップの最強チームとか、自然豊かな国という一般的なイメージがあるが、最近では、歩道に生えているコケに「天然バイアグラ」の効果があるという噂を信じて地面を舐めようとする男性があいついでいるとして、研究者が懸念を示しているという。



 地元メディア『ニュースルーム』に今月14日、「路上に生えているセクシーなコケを舐めないで」という奇妙な見出しの記事が登場、1週間たった今も話題になっている。

■天然バイアグラ

 記事によると、このコケは「キクバゴケ属」という地衣類の仲間で、その見た目からコケと名前はついているが、植物ではなく、菌類の仲間で、藻類と共生してひとつのからだを作っている。


 木の幹や枝、土に生えたり、コンクリートや岩場など日本でも身近な場所で見かけるが、ニュージーランドではジメジメした道路や屋根瓦、ガラス窓など、通常ならば地衣類が生息しにくい場所でも育ちやすく、雨降りのときには、スリップ事故の原因にもなるほどだという。



 ところが、オークランドの植物協会が開催した講演会で演者が「Xanthoparmelia scabrosaという地衣類は、勃起不全の治療薬と似た成分が含まれている」と説明したうえで、「天然バイアグラなんですよ!」と軽口を飛ばしたところ、この噂に火がついてあっという間に拡散。SNSなどを中心に「地面に膝をついて舐めたらどうだろう」などという声があがるようになったという。



 実際、中国最大のネット通販サイト「アリババ」では、トラやアザラシのペニスやセンザンコウのうろこなどといったワシントン条約で取引が禁止されている密輸品と並んで、カプセル入りのXanthoparmelia scabrosaの乾燥粉末が勃起不全薬として販売されているという。



 しかし、オタゴ大学の菌類学者アリソン・ナイト博士によると、アスファルトで舗装されている道路で見つかる地衣類は、鉛やヒ素、カドミウム、水銀などといった有害な重金属を含んでおり、男性機能の回復どころか、かえって健康を損ねる可能性が高いという。

 

 一方で、身近に生えている地衣類を採集して一儲けしようと考える人も出ているが、ナイト博士によれば地衣類の成長は年間数ミリと非常にゆっくりで、ネットで取引されている製品には、枯れ草などの不純物が混じっている可能性が高いと指摘している。

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ハザードラボ
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