従業員が仕事にどれだけやりがいを感じているかといったアンケートで会社の“幸福度”を調べるサービスを政府系金融機関の商工中金が始めます。中小企業向けの融資に加えて、アンケートを通じて職場の環境改善のアドバイスも行って企業との関係を強化するねらいです。

従業員へのアンケートで職場の問題点などを明らかにする職場環境の調査は大企業では一般的になっていますが、規模の小さな企業にはまだ広がっていません。

このため商工中金は、中小企業の職場環境を調査する新たなサービスを来年にも始める方針です。

アンケートの専用サイトを作って従業員に「本音が話せる人がいるか」「社員どうしでSNSを共有しているか」といった質問のほか、健康に関する質問などおよそ100項目を聞き取ります。

そして、従業員がどのくらいやりがいを感じているかや健康状態などを総合的に分析して会社の“幸福度”を数値で評価し、職場の環境改善をアドバイスするということです。

長引く低金利で金融機関の収益環境は厳しくなっています。商工中金は本業の融資に加えて、環境改善のアドバイスを行って企業との関係を強化したい考えです。

商工中金の金城研一郎さんは「従業員の満足度や、やる気をどうやったら把握できるかというのは多くの中小企業の悩みで、調査を通じて企業の成長を支援したい」と話しています。


職場の課題把握 本音引き出す難しさ

埼玉県羽生市にある従業員89人のアルミ部品のメーカー「田島軽金属」は、自動車の部品のほか、ビルの外装向けの材料などを作っています。

業績は好調ですが、ほかの会社の求人が増える中、この2年間で5人が辞めたということです。

田島正明社長は、働き手を確保するには給与などの待遇面はもちろん、従業員に仕事にやりがいを感じてもらうことが課題だと感じています。

田島社長は、以前、自分でアンケートをつくって、職場の問題や従業員のやりがいを調べたことがありました。

しかし「職場に問題はない」とか「社長をずっと続けて欲しい」といった回答が目立ち、従業員の本音を引き出して職場の課題を把握するのは難しいと感じています。

田島社長は、「全国的な人手不足で従業員を採用できなくなってきている。会社の幸福度を見える化して手を打てば対策になるのではないか」と話しています。

NHK NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191111/k10012172171000.html