胃カメラを飲むべき頻度とリスクが発生する年齢は?
2/3(月) 7:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200203-00000008-pseven-life

 日本人男性の罹患者数1位である胃がん。その発見率が高いとされるのが、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)だ。診断精度が高く、直接胃の組織を採取して病理検査を行なえるメリットもある。

 ただし、胃がんが心配だからといって、誰もが毎年のように受ける必要はないと、ナビタスクリニック川崎の谷本哲也医師はいう。
「胃がんを発症する原因のほとんどが『ピロリ菌』による慢性炎症です。費用は1万〜2万円ほどかかりますが、症状がなくても1度は胃カメラを飲み、胃炎があればピロリ菌検査を行なったほうがいい。
 ピロリ菌検査で『陽性』だった場合は、除菌したとしても菌による炎症の影響が残り続けてがん化してしまうケースがある。1〜2年に1度は胃カメラを受ける必要があります。一方、50歳以降は胃がんリスクが高くなりますが、ピロリ菌が始めから陰性で胃炎もなければ、5年に1度程度まで間隔を延ばしても構わないでしょう」
 ただし、年齢を重ねると“受けることによるデメリット”が大きくなってくる。住吉内科・消化器内科クリニック院長の倉持章医師がこう話す。
「高齢になると体力が落ちてしまうため、検査の際に胃や食道を傷めてしまうリスクが高くなったり、検査前に絶食する際に脱水状態を起こしやすくなってしまう。80歳を過ぎるとそうしたリスクが、胃がんを見つけるメリットを上回ってしまう印象です」
 人間ドックで、胃カメラと並び選択できる胃部X線検査 (バリウム)だが、「胃カメラと比べて受けるメリットは少ない。私自身、一度も受けたことがありません」 (倉持医師)という。
「胃カメラよりも胃がんの発見率が低い。それにもかかわらず、検査後にバリウムがきちんと排泄できずに腸閉塞を起こしたり、大腸の一部に穴があく穿孔によって死亡した例もある。撮影時に体を回したり、診察台を揺するので、高齢者には転倒のリスクもあります。
 バリウム検査で胃がんが疑われたとしても、結局、胃カメラが必要になるので、そもそも受ける意味があまりない。とくに高齢者ほど事故のリスクが高くなります」(倉持医師)
※週刊ポスト2020年2月14日号