福島大食農学類の吉永和明准教授(36)は福島牛に含まれる香り成分「ラクトン類」の量が、高級ブランド牛の米沢牛や松阪牛と同等であることを突き止めた。研究論文がオランダの出版社「エルゼビア」の国際誌「LWT」に掲載される。農業関係機関と連携し、牛の育て方や飼料によって香り成分の含有量が異なるかや、他の産地を調べ、福島牛の優位性を明らかにしていく考え。

 ラクトン類は甘い香りを漂わせる香気成分で、吉永准教授は食品中の香り成分を精密に測定できる分析機器を用い、外国産牛と国産牛(福島、米沢、松阪)のラクトン含有量を比較した。

 その結果、成分総量は輸入牛より国産牛が圧倒的に多かった。中でも、福島牛は、ココナッツのような匂いの「γ(ガンマ)−ノナラクトン」、モモに近い香りを放つ「γ−ヘキサラクトン」などの含有量が多く、米沢牛や松阪牛に比べ遜色ないことが分かった。ラクトンは加熱すると質量が増え、火を通すとさらに香りが引き立つという。

 東京電力福島第一原発事故の影響で福島牛の価格は大きく落ち込んだ。農林水産省の調査によると、平均単価は回復傾向にあるものの、全国平均と比べ一割ほど安い。さらに新型コロナの影響で消費が落ち込んでいる。

 吉永准教授は「研究成果が福島牛の市場価値向上や、新型コロナウイルスの影響で落ち込む牛肉の消費拡大につなげたい」と意欲を見せる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/55672ce3f91d0d31eea8e534e1671d1f72634d48?fbclid