自民党総裁選(14日投開票)の立候補者3人が出席した12日の日本記者クラブ主催の公開討論会で、菅義偉官房長官は安倍晋三首相の路線を継承する受け答えに徹した。選挙戦を優位に展開する菅氏に対し、追う立場の石破茂元幹事長と岸田文雄政調会長は独自色をぶつけて「違い」をアピールした。

 7年8カ月の長期政権を担った安倍首相はトランプ米大統領との親密な関係をテコに各国との首脳外交で存在感を示してきた。このスタイルをどう引き継ぐか、菅氏に質問が集中した。

 討論会前半は、候補同士が質問し合う方式だった。2012年末の第2次安倍政権発足から4年7カ月間、外相を務めた岸田氏は菅氏にこう質問した。「分断する国際社会の中で、今後どういった方向で存在感と発言力を維持し、国益を守るのか」。菅氏は「日本外交の基軸はなんと言っても日米同盟」とした上で、「中国、韓国はじめ近隣諸国とはなかなか難しい問題はあるが、二者択一ではなく戦略的にしっかり付き合い、常に意思疎通は行える外交を進めたい」と応じた。

 後半の記者との質疑でも「引き継ぎ」を問われた菅氏は「日米(首脳)の電話協議は37回くらいやっているが、1回以外は全て同席し、重要な政策決定には全て絡んでいる」と強調。「同席と交渉は違う話だ」と再質問されると、「同席してたから何もやってないという……」と気色ばんだ。その上で「どういう話、どういう政策を提案するか、全て事前に相談を受けて出席している。国として判断することには全て関わってきている」と反論した。

 一方、トランプ氏やプーチン露大統領らと安倍首相の個人的関係の深さについては「そうしたことは私はできないが、自分型の外交姿勢で貫いていきたい」とも吐露。安倍首相の協力を求めるかと聞かれると「当然、ご相談させていただきながら行っていくことになる」と語った。

 菅氏は石破氏に対し…(以下有料版で、残り2456文字)

毎日新聞 2020年9月12日 21時46分(最終更新 9月12日 22時12分)
https://mainichi.jp/articles/20200912/k00/00m/010/314000c