※日刊ゲンダイDIGITAL

春や夏の波とはスケールがケタ違いの新型コロナ第3波。感染が急拡大するのに伴い、死者数が急増している。9日には累計死者数が4000人を超えた。2000人から3000人に達するまでは1カ月かかったが、わずか18日間で1000人増えた。47都道府県の死者数はどれだけ深刻なのか――。東京換算(第2弾)により、実態を探った。

 第3波は昨年12月から勢いを増した。12月1日から今年1月10日までの死者数は1915人と累計死者数の半数近くを占める。この期間の都道府県別の死者数を東京の人口に換算してみた。厚労省が8日に発表した6日時点の病床使用率を付け加えた(別表)。

 旭川でクラスターが多発し、死者が多く出た北海道がダントツ。続く大阪は病床使用率が66%に上る。菅首相は北海道と大阪の時短営業の成果を強調してきたが、死者数は飛び抜けて深刻なのだ。

 4位の愛知、7位の岐阜の病床使用率は60%に迫る。両県は医療逼迫を受け、12日にも政府に緊急事態宣言を要請する予定だ。

優等県だった岩手がワースト6位に
第3波襲来で、12月1日から1月10日までの期間で、死者数は累計死者数の半数近くを占める…(C)日刊ゲンダイ

 7月末まで感染者ゼロだった岩手県は11月以降感染者が増え、11月23日に初めて死者が出た。12月以降、22人が亡くなった。東京の人口に換算すると250人のスケールだ。死者急増は基礎疾患のある高齢者が多く利用する医療機関のクラスターが要因だ。

 人口約70万人の高知の死者8人は東京の160人に相当する。熊本と奈良は死者数、病床使用率とも厳しい状態だ。

 西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)は言う。

「人口が少ない地方の死者数はどうしても小さく見られがちですが、危機的状況に直面している県は少なくありません。もともと、地方は重症化、死亡リスクが高い高齢者が多い上に、病院、医療スタッフともに医療提供体制は脆弱です。旭川のように医療機関でクラスターが発生すると、一気に医療提供体制は傾いてしまいます。旭川の事例を教訓にすれば、病院の関係者に定期的な検査を行い、クラスターの発生を予防することが重要です。ところが、菅首相は、医療提供体制に関しては、コロナ受け入れ病院の補助金を上乗せする程度で、危機感は感じられません。地方の実情に関心があるのかさえ疑問です」

 グーグルの感染予測(11日時点)によると、今月9日から2月5日までの28日間の感染者数は27万9010人(1日あたり約1万人)、死者数3947人(同約140人)に膨れ上がっている。

 菅首相は11日、済生会宇都宮病院の小倉崇以救命救急センター長ら医療関係者と公邸で面談。小倉氏は、地方都市で高齢者に感染が広がっているとして「非常に危機的な状況だ」と訴え、菅首相は「重く受け止め、しっかり対処したい」と応じた。

 口先だけでなく、具体的に何をするのか。一刻の猶予もないはずだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ba25213084d03d18b67265940ffbe39de31c45e3
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