2021年2月6日 7時44分
読売新聞オンライン

 富山市で2018年、警察官ら2人が殺害された富山県警富山中央署奥田交番襲撃事件で、強盗殺人罪などに問われた元自衛官島津慧大(けいた)被告(24)の裁判員裁判の第10回公判が4日、富山地裁であった。

 被告は捜査段階の取り調べで、「人を殺すことで社会とのつながりを断とうとした」などと供述していたことが、供述調書や録音した音声で明らかになった。

 検察側は、被告が法廷で何も話さないことから、捜査時の供述調書などを証拠として提出。取り調べ時の音声は法廷で流され、時折沈黙する様子をうかがわせながらも雑談を交えて聴取に応じる様子がわかった。

 逮捕後の警察官による取り調べでは、被告は犯行の動機について「(警察官の)拳銃を奪い取ろうとした」と供述。一方で、「一番の目的は警察官で、戦って生き残ったら(拳銃のつりひもを)切ろうと思っていた」と説明したり、何度も訂正を求めたりする一幕もあった。公判で弁護側は、被告の拳銃を奪う意思は警察官殺害後に生じたとして、強盗殺人ではなく殺人と窃盗罪の適用を求めている。

 対人関係が築けないことによる生きづらさを吐露する場面もあった。被告はアルバイト先でのトラブル後の心境を「いつも同じ失敗を繰り返し、人生と自分を受け入れてくれない社会に失望した」と表現した。事件を起こせば「最後に射殺されるのはわかっていた」という。

 また、稲泉健一警部補(当時46歳)と交番裏口でもみ合いになり発砲があったことに関しては、「発砲したのは自分じゃない。警察官本人が発砲して自分の手のひらに当たった感じだった」と供述。稲泉警部補が背中を向けた際に、持っていたおので後頭部を何度もたたいたという。警察官と戦うことは「1、2年前から何となく空想や妄想していた」などと述べていた。

 次回公判は8日。論告求刑などが行われ結審する。
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