※読売

 新型コロナウイルスワクチンの国内での接種が17日始まった。1例目は、国立病院機構東京医療センター(東京都目黒区)の医師に米製薬大手ファイザー社製のワクチンが接種された。先行接種は、全国100の医療機関の約4万人が対象で、うち2万人は副反応などを調べる研究に参加する。4月には高齢者への接種が始まる予定で、新型コロナ収束への切り札として期待される。

 厚生労働省によると、初日に先行接種が実施されたのは、首都圏の8病院の医師や看護師ら125人。東京医療センターでは午前9時から、新木一弘院長ら12人が接種を受けた。

 千葉労災病院(千葉県市原市)では、午後1時半頃から、到着したばかりのワクチンを解凍。12人が医師による問診を受けた後、午後4時半頃から、上腕に筋肉注射を受けた。その後、副反応などに備えて15分間安静にし、いずれも異常はみられなかった。

 同病院では約200人が先行接種の対象となっており、最初に受けた岡本美孝院長は記者会見で「接種をためらう職員を安心させたい。前のような日常生活が戻る第一歩となることを強く期待する」と述べた。

 先行接種は、来週にかけて国立病院機構など全国100の医療機関全てで始まる見通し。その後、早ければ今月中にも他の医療従事者約370万人、4月からは高齢者約3600万人への優先接種が行われる予定で、一般の国民への接種は今夏以降になる見込みだ。

 菅首相は17日の衆院予算委員会で、「全責任は首相の自分にあるという思いで全力で取り組んできた。多くの国民が一日も早く接種できる環境を作っていくのが政府の責任だ」と述べた。

 ただ、日本にどれだけのワクチンが供給されるかは不透明だ。欧州連合(EU)は域内で生産されたワクチンについて、域外への輸出を管理する仕組みを1月末に導入。米ファイザー社の日本向けワクチンはベルギーとドイツで生産されており、航空機1便ごとに承認が必要となる。

 河野行政・規制改革相は16日の記者会見で、先週到着した1便目(約35万回分)に続き、15日に2便目が承認され、来週到着予定と発表した。だが、2便目の量や、3便目以降の見通しは公表していない。

 厚労省も17日の自治体向け説明会で、十分なワクチン供給が見込めないとして、3月中旬に予定していた高齢者への接種券(クーポン券)の発送時期を遅らせる可能性があるとした。

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2021年2月17日
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