2022年12月4日 18時03分 物価高騰

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円安や海外の人件費高騰に伴い日本企業の間で相次ぐ“国内回帰”の動きです。
博多名物のめんたいこを製造・販売する福岡の老舗企業が、およそ40年にわたってアジアで行ってきた生産の一部の工程を、国内に移管することを決め、生産拠点を国内に戻す動きは、食品関連も含め、幅広い業種に広がっています。

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福岡市に本社を置く創業48年の「やまやコミュニケーションズ」は、めんたいこなど加工食品の製造や販売を手がけていますが、原料のスケソウダラの卵を塩漬けにする工程はベトナムの企業に委託しています。

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日本で年間およそ3万トン近く消費されるめんたいこ。

実は原料となる「スケソウダラ」の卵の産地はほとんどが外国産です。

業界団体の「全国辛子めんたいこ食品公正取引協議会」は、「スケソウダラ」の卵の産地について、ロシア産が50%から60%、アメリカ産が30%から40%、日本産が5%から10%だとしています。

「やまやコミュニケーションズ」では、主にロシア産のスケソウダラを原料に使っているということです。

スケソウダラの漁場はロシアとアメリカに挟まれるベーリング海で、漁船の中で加工した卵は冷凍保存されて韓国のプサン(釜山)港に運ばれます。

「やまや」では、この卵をプサン港からベトナムに輸送し、生産を委託している現地の工場でいったん塩漬けのたらこにしたあと、日本に運んで、めんたいこに加工し、販売しています。

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しかし、経済成長が著しいベトナムで賃金の上昇が続いていることに加え、円安が進んだことも相まって、現地で生産を始めた2014年と比較すると人件費は3倍以上に膨らんでいるということです。

このため、国内販売分の生産を、来年4月に福岡県篠栗町に新設する自動化システムを備えた工場に移管することを決めました。

コロナ禍で起きた世界的な物流の混乱で、加工品の納入が遅れるリスクに直面したことも、今回の判断を後押ししたということです。

会社はおよそ40年にわたって、韓国から中国、そしてベトナムへと生産拠点を移してきましたが、今後、日本で販売する商品はすべて国内で生産する方針です。

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やまやコミュニケーションズの山本正秀社長は「多くの食品会社が人件費の安さを求めて海外生産をしてきたが、人件費の差は20年で縮まってきた。コロナ禍で輸送が止まるリスクもあり、国内生産に切り替える会社が増えていくと思う」と話しています。




“国内回帰”の動き 経産省も補助金で支援
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