西側諸国の安全保障や軍事分野のアナリスト達はウクライナ軍の反攻作戦が行われている戦場を視察し、反攻作戦の進捗が遅れているのは「西側製兵器の不足」や「地雷原」といった単一要因のせいではなく、不完全な諸兵科連合作戦のスキルにあると指摘した。

参考:A Sobering Analysis Of Ukraine’s Counteroffensive From The Front
https://www.thedrive.com/the-war-zone/a-sobering-analysis-of-ukraines-counteroffensive-from-the-front

参考:Franz-Stefan Gady
https://twitter.com/HoansSolo

■仮に武器のニーズが満たされても諸兵科連合作戦のスキルが伴わなければ結果は同じ

英国の国際戦略研究所や米国のCNASで上級研究員を務めるフランツシュテファン・ガディ氏は、ローチャン・コンサルティングのコンラッド・ムジカ氏、外交政策研究所のロブ・リー氏、カーネギー基金のマイケル・コフマン氏らと共にウクライナ軍の反攻作戦が行われているザポリージャやドンバスを視察、そこで得られた知見を元に「反攻作戦の進展が遅いのは西側製兵器の不足や地雷原といった単一要因が原因ではない。少なくとも私たちが前線で会った指揮官や兵士はそのように考えていない」と指摘し、以下のような主張を披露している。

機動戦を可能にする手段(地雷除去装備、防空ミサイル、対戦車ミサイルなど)が不足しているため機械化部隊が投入されることは殆どない。ウクライナ軍の反攻作戦は砲兵の支援を受けた歩兵戦(最大でも中隊規模)で、機動力が欠如した作戦の進捗は「km」ではなく「m」で測定される。そもそもウクライナ軍は大規模な諸兵科連合作戦を完全にマスターしておらず、戦闘は同期的というより順序的で、これが攻撃側に様々な問題を引き起こし、作戦の進捗が遅れる主な原因になっている。

現在のウクライナ軍は「不完全な諸兵科連合作戦でロシア軍の防衛ラインを突破する」というアイデアを捨て、砲兵戦力の連続射撃に依存する消耗戦略に切り替えた。クラスター砲弾の重要性が高いのは「砲兵戦力の火力投射量を秋頃まで維持するため」で、ウクライナ軍は消耗戦略でロシア軍の抵抗力を機動戦が可能になるまで弱体化させたいと考えている。

地雷原は前進を遅らせる要因の一つだが、ウクライナ軍の前線突破能力に最も深刻な影響を及ぼしているのが「大規模で複雑な諸兵科連合作戦を実行できない」という点で、これが原因でウクライナ軍部隊はロシア軍陣地に辿り着く前に対戦車ミサイルや大砲によって撃破されており、私が観察した範囲で「ロシア軍の防衛ラインが組織的に解体された」という事例は1つもない。

私が出会ったウクライナ人将校や下士官の質や士気は高かったが、動員された兵士の能力は低く、体力が劣る年齢の高い人々が多かったため部隊の質には問題が生じている。

前線で戦う指揮官や兵士は「武器の引き渡しや支援が不足しているため反攻作戦の進捗が遅れている」という説に共感を示さず、その原因が「動員された兵士の質」「戦術のまずさ」「部隊間の連携不足」「官僚的な仕事の進め方」「ソ連流の思考」「ロシア軍の激しい抵抗」にあることを十分認識していた。

以上がガディ氏の指摘で、残念ながら「NATO基準を取り入れたスマートで効率的なウクライナ軍」というイメージは表面的(もしくは部分的)なものでしかなく、仮にガディ氏が指摘が正しいなら「武器があっても諸兵科連合作戦のスキルが伴わなければ結果は同じ=西側装備でソ連流に戦っているだけ」という意味になり、半年程度の訓練で諸兵科連合作戦を実行できるようにするというアイデア自体に無理があったのだろう。(以下ソース)

2023.08.3
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/lack-of-operational-skills-in-ukrainian-forces-slows-counteroffensive-progress/
https://grandfleet.info/wp-content/uploads/2023/08/UA_2023_0803_04.jpg

★1:2023/08/05(土) 23:42:21.56
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