県警幹部「見つからなければ…捜査に全力尽くす」

広島県警広島中央署内で起きた多額窃盗事件で、盗まれた現金8572万円は国の制度に基づき、詐欺事件の被害者の手元に戻される可能性があるお金だった。
県警幹部は「見つからなければ、公費で弁済せざるを得ないかもしれない。
あってはならないことで捜査に全力を尽くす」と深刻に受け止める。有識者からは「被害金の保管のあり方を見直すべきだ」との意見も出ている。

盗難に遭った現金は、生前贈与を持ちかけて手数料名目で現金をだましとったとされる多額詐欺事件の証拠品。
県警は今年2月、容疑者グループ5人を逮捕し(うち2人が詐欺罪で起訴)、東京都内の関係先で計約9000万円を押収。同署会計課の金庫で保管していた。

被害は全国400人以上、総額約1億6500万円に上る大がかりな詐欺事件とみて、捜査を続けている。

2006年に始まった「被害回復給付金支給制度」は、詐欺など組織的な犯罪で犯人が得た財産を国が没収し、被害者に給付金として返還する。
盗難に遭った現金8572万円も裁判で被害財産と認定されれば弁済に充てられる可能性があった。

甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「被害者救済に充てられる可能性のある現金が警察署で盗難に遭うこと自体が前代未聞だ。
見つからない場合に公費で弁済しようにも、法的根拠はにわかに見当たらず、簡単ではない」と指摘した上で「保管は警察や検察が責任を持つべきだが、
日本の捜査機関は証拠品の適正管理への認識が低い。第三者の意見も取り入れ、管理方法をしっかり見直すべきだ」と話す。

ジャーナリストの大谷昭宏さん(71)は「保管する現金が多額な場合などは銀行と提携し、貸金庫に預けることなども検討を」と提案する。

盗難は詐欺事件の刑事裁判にも影響を与える可能性もある。2被告は起訴内容の一部を否認。
被害弁済の有無は情状酌量の判断にも関わることから、弁護人の一人は「被告にとっても悪影響だ」と話している。【寺岡俊、東久保逸夫】

配信 2017年5月13日 11時56分

毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20170513/k00/00e/040/261000c

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