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40代以上の世代なら1970年代に放映された「ドン・チャック物語」や「山ねずみロッキーチャック」というテレビアニメを覚えていないだろうか?

幼少期にこれらの番組を見た世代なら、日本には生息せず、馴染みのない存在のビーバーが「ダム作りの名人」で、周辺の木を切り倒して自然を破壊する原因になっていることもご存知のはず…。

とは言っても、自然破壊の最たる原因は、我々人間な訳だが、米ユタ州の環境団体「エコロジカル・リサーチ」のニック・ウェーバーさんらは、科学誌『PLOS ONE』で長年のビーバーに対する誤解を解くような調査結果を公表した。

チームは2007年から2014年にかけて、オレゴン州に流れるビーバーが生息する川の流域34キロにわたって、23カ所で水温の調査を続けた。

この8年間でビーバーが作ったダムは当初の24個から120個に増加し、さらに調査対象の流域を4キロ伸ばしたところ、全部で134個のダムが作られていたという。

それだけ多くのダムで水がせき止められるようになったにもかかわらず、8年間で下流の水温は平均で2.6℃低下。ダムが増える前は水温が上昇するとバタバタと死んでいた淡水魚の姿もほとんど見られなくなったという。

「ビーバーのダムによって、夏場は川の水温が高くなり、サケなどの生息環境が脅かされると考えられてきましたが、それは誤解だったのです」とウェーバーさん。

ダムが水温を下げる理由はまだはっきりしていないが、ダムの貯水量が増えることで、日中の水温上昇を抑制する効果があるのではないかと指摘している。

英国の専門家のなかには、ビーバーが作るダムこそが、コストをかけず、川の自然な生態系を回復できる唯一の手段だと評価する意見もあるそうで、

ビーバーが環境を変えることで、水鳥が渡ってきたり池に水草が生えるようになったり、森の草食動物にとって貴重な食事場所を提供しているという考え方が広まっている。

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