勉強する場所・第1位に挙がるリビング。
子どもがリビングやダイニングなど、親の目の届く範囲で勉強することが推奨され、子育て世代が住まいを考えるうえで、最近のトレンドにもなっています。

とはいえ、実際のリビングはテレビなどの誘惑も多く、大人からみれば集中しづらい場所にも思えます。
どのように学習環境を整えたらいいのか、学習指導の専門家である小川大介さんに聞いてみました。

■ リビングで勉強する子どもが増えた理由

ひと昔前は、子どもにとっていい学習環境とは、集中できる静かな場所=独立した個室を与えることだと多くの人が考えていました。
しかし、リビングで学習していた子どものほうが成績が伸びやすいという本などの影響もあるのか、今は勉強をリビングやダイニングでする小学生が8割を超えるという調査データもあります。

画像1:小学生は8割以上、中学生も6割以上がリビングで勉強している
(出典/ベネッセ教育総合研究所「小中学生の学びに関する実態調査 2014」)
https://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2017/07/137336_sub01.jpg

個室ではなくリビングで学習するというスタイルが浸透していったのには、特に首都圏の場合、立地の都心化などにより、マンションの専有面積が小さくなっていった影響もあると考えられます。
と、同時に、子どもの学習の種類が変化していることも大きく影響していると小川さんは言います。

「われわれが子どものころの勉強は、与えられたものを覚えて知識を増やしたり、課題をこなして提出する、というのが主体だったので、個室でひとりで学習するというのでも特に不都合はなかったんです。
しかし、今の学校教育は課題をただこなすだけでなく、自分の考えを誰かに話して、そこから何かに気付いたり、あらためて考えたり、子どもたちに『仮説』や『検証』といった作業を体験させ、考えを深めさせようという狙いがあります。
子どもたちに求められる学習の種類が、昔と今では大きく様変わりしているんですね」(小川さん)

なるほど、確かに、今どきの学校の宿題は家族の手助けが必要なものが多いような気がします。
昔であれば、きょうだいの知恵を借りたりして、わいわい言いながら考えを深めていったものも、今は、きょうだいが少なくなり、必然的にその役割は親が担うことになっています。
そう考えると、ここ10年ほど、個室ではなく、親のいるリビングで学習する子どもが定着してきたのは、当然の流れといえそうです。

■ 「リビング学習」って単にリビングテーブルで勉強することじゃない!?

ところで、「リビング学習」というと、勉強道具をリビングテーブルに広げて勉強することと思いがちですが、実際は少し意味合いが異なるようです。
小川さんによると、家族とのかかわりやテレビを見たり、きょうだいと遊んだり、リビングで営まれている日々の生活から、子どもを自然な学びへと導くのがリビング学習の本質だということです。

「子どもが思考を深め、より学習を膨らませていくには、リラックスできて、なおかつ適度な刺激がある環境が理想的です。
つまりそれらの条件を満たした場所がリビングなわけです」(小川さん)

■ 子どもの知的好奇心をくすぐる仕掛けや工夫が大切

リビング学習をするには空間づくりにいくつかコツがあるとのこと。
小川さんによれば、ポイントはまず、子どもにとって発見がある、知的好奇心を刺激する空間であることだといいます。

「子どもはちょっとした変化や新しいことに敏感で、隠れているものを見つけ出すことが大好き。
ですから、家具のレイアウトなどでも、整然と見通しよく配置するのではなく、子どもがちょっと覗いたときに見える位置に興味を引きそうなものを置いたりするといいですね。
大切なのは子どもの目線を意識することです。
例えば、私はリビングに図鑑や辞書、地図を置くことを薦めていますが、地図もただ普通に張るのではなく、子どもが床に座ったり、寝ころんだときに目に入ってくる位置に張ると、より関心を引きやすいといえます」(小川さん)

辞書や図鑑類も同様。
子どもが座り込んだときに目に入る位置に並べる、そして、並べる順番は定期的に入れ替えること! 
こうすると、子どもは「いつもと違う」ことに気付き、自然と意識が並んでいる本に向くようになります。

http://news.livedoor.com/article/detail/13351090/

※続きます