神戸市北区で7月に住民5人が殺傷された事件で、祖父母への殺人容疑などで逮捕された無職、竹島叶実(かなみ)容疑者(26)について、神戸地検は来月中にも、精神鑑定を実施するための鑑定留置を裁判所に請求する方針を固めた。無差別に被害者を襲った状況、竹島容疑者の言動に不可解な点があり、容疑者の刑事責任能力の有無などを確認する必要があると判断したとみられる。

 捜査関係者によると、事件当日の7月16日午前5時半ごろ、自宅で竹島容疑者は同居の母(53)と顔を合わせていた。母は事情聴取に「あいさつをしたくらいで会話の内容はあまり覚えていない」と説明し、普段と変わらない様子だったという。しかし、約1時間後に事態は急変。祖父の南部達夫さん(83)と祖母の観雪(みゆき)さん(83)、近くの辻やゑ子さん(79)の3人が相次いで包丁で刺されるなどして死亡し、母と別の女性(65)も負傷した。

 竹島容疑者は取り調べに淡々と応じ、「誰でもいいから殺そうと思って凶器を持っていた」と無差別殺人をほのめかしている。一方、事件直後に現場近くの神社で警察官に取り押さえられた際には「神社に行けばアイドルに会えるとお告げがあった」など不可解な言葉も発しているという。

 竹島容疑者は逮捕後に「家族に『仕事には就かないのか』と言われた」「学校や仕事がうまくいかずやめた」などと供述。ただ、家庭内や近隣住民との間で目立ったトラブルは確認されておらず、動機の解明は難航している。ある捜査関係者は「非常に頭が良い印象を受けるが、(仕事などへの不満も)殺傷と関連づけて話しているわけではなく、短絡的に動機とはつなげられない」としている。【原田悠自、黒川優、藤田愛夏】


https://mainichi.jp/articles/20170822/k00/00e/040/225000c
毎日新聞2017年8月22日 15時00分