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(CNN) アグレツコ(アグレッシブ烈子)は、日本でありふれた事務仕事に精を出す、25歳OLのレッサーパンダだ。

アグレツコは職場では仕事を無難にこなすプロだが、そのキュートな外見の裏側にはダークな現実が隠されている。彼女は仕事が終わると、ビールをがぶ飲みしたり、カラオケでヘビーメタルを歌ったりすることで積もり積もった怒りを発散し、先のない今の仕事に見切りをつけることを夢見ている。

そしてアグレツコは、ハローキティで知られるサンリオのキャラクターでもある。

アグレツコのデザインを担当したデザイナーのイエティさんは、働いている人や不満を解消したい人向けにこのキャラクターを作ったという。イエティさんは、烈子はそういう人たちが共感できるキャラクターだと考えている。

イエティさんによると、今、「かわいい」文化の本質は変わりつつあり、ハローキティ時代の従来型のかわいらしさはもはや通用しないという。

人々が求めているのは、より活力に満ちた、より新しいキャラクターだとイエティさんは言う。

抵抗としての「かわいい」文化

「かわいい」ブームは80年代以降、日本の文化を席巻してきた。当時の「かわいい」は、子どもらしく魅力的で純粋な人や物を意味した。

そして、サンリオのハローキティグッズや「ポケモン」ブランド、さらに「ゾクっとする」ものからグロテスクなものまで、あらゆるものを含む多様な「かわいい」サブジャンルが世界中に広まることにつながった。

しかし、「かわいい」の追求が大規模なビジネスとして始まらなかった理由はあまり知られていない。実は、「かわいい」は一部の若い女性が、日本の家父長制度に対する抵抗として取り入れたとされる。

マンチェスター大学で日本について研究しているシャロン・キンセラ氏によると、1971年に日本を震撼させた学生運動の直後に発生した「かわいい」ブームは、1970年代の密かな筆記体ブームから始まり、当時、十代の少女たちは日本語の五十音を子どもっぽい丸みを帯びた字体で書き始めたという。

この動きは、母親になることを宿命づけられた日本の女性らにとって、再び幼少期に戻り、大人としての責任を拒絶するための手段だったという。

しかし、日本のかわいいブームに飛び付いたのは若い女性だけではない。

サンリオの「かわいい」世界帝国

1970年代初頭、サンリオは若い女性消費者向けに文房具や高級玩具などの「かわいい」グッズの販売を開始し、瞬く間に市場を独占した、とキンセラ氏は言う。

餃子から旅客機の機体に至るまで、ありとあらゆる物に描かれているハローキティは、今でも日本が誇る「かわいい」世界帝国の代表的存在と言えるかもしれない。しかし、社会の変化により、ハローキティの「かわいい」キャラクターとしてのブランドは魅力を失いつつあるとの見方も専門家の間からは出てきている。

世代によって求めるものも異なるため、幻滅した女性社員が、ロマンチックかつ乙女チックな、ピンク色のハローキティに共感する可能性は低い、とロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)の上級講師(現代日本文化)、グリセルディス・キルシュ氏は指摘する。

「もう1つが、多少ダークな面はあるが、より自己を認識しているおてんばなキャラクターだ。こちらは人々の現実にやや近いのかもしれないが、十分な愛嬌(あいきょう)とかわいらしさも備えている。今、そういったキャラクターが新たな市場を開拓し、自分はハローキティとは異なり、むしろアグレツコに近いと考えている人々をターゲットにしている」とキルシュ氏は語る。
>>2以降に続きあり)

2017.09.24 Sun posted at 18:04 JST

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