機に乗るのをためらう親子連れにも安心して空の旅を楽しんでもらおうと、「赤ちゃんが泣かないヒコーキ」と銘打ったユニークな取り組みを始めた。赤ちゃんに心拍数を測定する機器を着け、連動するスマートフォンのアプリで“予兆”を察知すると飲み物を与えるなどして大泣きを防ぐという仕組み。成田−宮崎間で往復のデモフライトを実施し、効果を検証した。

 全日空によると、乳児を持つ親の4割が子連れでの搭乗に抵抗を感じているという。同社は2年前から東レやNTTなどと協力し、スポーツ選手が使う心拍数の測定機器を赤ちゃん用に応用する研究に着手。泣きだすサインとされる心拍数の急上昇などを測定し、アプリが乳児の状態を「アクティブ傾向」「落ち着き傾向」などと表示する。

 デモフライトには、3カ月〜2歳の36人とその家族が参加した。搭乗前に、腹巻きのように布と一体型になった機器を取り付けた時点から泣きだす赤ちゃんが続出。離陸や着陸など気圧の変化や振動が激しい時は、機内に泣き声が響いた。親がアプリを見る前に泣きだす例もあった。全日空などは今回の結果を分析し、機器の改善などを進めて実用化を目指す。

 高梨貴行さん(34)、美紀さん(28)夫婦は、5カ月の長男颯人(はやと)ちゃんと初フライト。颯人ちゃんは離着陸時に泣いたが、そのほかは落ち着いていた。美紀さんは「アプリで状態が分かるだけでも安心できた」と話した。

搭乗前、心拍数を測定する機器をおなかに取り付けてもらう赤ちゃん=1日、千葉県成田市の成田空港
https://www.nishinippon.co.jp/import/national/20171002/201710020002_000.jpg?1506891724

配信2017年10月02日 06時00分
西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/362860/