加工用の国内産ジャガイモの不足からポテトチップスがコンビニやスーパーの棚から消えた今春の「ポテチショック」を教訓に、カルビーや湖池屋は国内産の安定調達に乗り出す。産地の分散や契約農家の支援、産地と連携した新商品の企画など、取り組みはきめ細かい。農林水産省も増産に向けて側面支援をする。

 北海道でジャガイモの収穫がピークを迎えている。台風上陸が相次いで収穫量が減った昨年に比べ、今年は順調だ。「昨年のような品質低下はない。収量は例年より1、2割増えそう」。国内最大のジャガイモ産地、北海道十勝地方の後藤敦志さん(47)は手応えを語る。カルビーの契約農家で、今年は60ヘクタールの畑のうち13ヘクタールで作付けをした。

 カルビーが1年に使うポテチ用国産ジャガイモは約30万トン。このうち約8割が北海道産だ。ただ、昨年は夏に複数の台風が北海道に上陸。大雨や強風による被害が相次ぎ、ジャガイモの収穫量が減った。こうした状況を避けようと、同社は産地の分散や農家支援に力を入れる。

 十勝地方では、契約農家に栽培方法や害虫などの情報を提供するスタッフ計40人を新たに配置。他の作物より重い作業負担を軽減しようと、大型の収穫用トラクター導入も後押しする。子会社カルビーポテト(北海道帯広市)の中村一浩社長は「国産の確保にしっかり取り組みたい」と話す。

 新たな栽培方法の拡大にも熱心…

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http://www.asahi.com/articles/ASK9P6T2FK9PULFA032.html
カルビーが導入を後押ししているジャガイモ収穫用の大型ハーベスター。全長約11メートル。1度に2列の畝(うね)を収穫でき、作業時間が短縮できる
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9月に完成したカルビーが管理するジャガイモの大型貯蔵庫
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北海道今金町産の男爵イモを使った湖池屋の「ポテトチップスのり塩 今金男しゃく」(オンライン販売用)。今秋にはパッケージを変えてスーパーやコンビニでも販売する。実勢参考価格は、同社の通常の「のり塩」より3倍近い298円
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