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 青森県など4道県が2020年の世界文化遺産登録を目指す「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」について、国の文化審議会の複数の関係者が、日本の新たな登録推薦候補を決める18年の審査で「有力」と見なしていることが東奥日報紙取材で分かった。三内丸山遺跡をはじめとする遺跡自体の価値を高く評価し、中には「縄文が最有力」とする声もあった。推薦への課題として、国内他地域の縄文文化との違いを明確に打ち出す必要性が指摘されている。

 世界文化遺産への推薦は1国につき毎年1件。文化審議会の専門部会(委員13人)が例年7月下旬に選定する。昨年の審査では、登録予備群に当たる「暫定リスト」記載の7件(推薦済みを除く)のうち、推薦書素案の完成度が高い「縄文」、「百舌鳥(もず)・古市古墳群」(大阪府)、「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」(新潟県)の3件が審査対象となり、「百舌鳥」が選ばれた。

 今年の審査では、「縄文」と「佐渡鉱山」が争う構図になるものとみられるが、「縄文」について、複数の関係者が東奥日報紙取材に対し、「遺跡の価値がしっかりしており、評価は高い」と断言した。

 ある関係者は「佐渡鉱山も世界遺産にふさわしい」としながらも、「(縄文は)世界遺産の登録が少ない先史時代を埋める貴重な遺跡で、国際的な受けもいい」「先史時代の遺跡で、これほど調査が進んでいる例は少ない」などと評価し、推薦候補として推奨した。

 また、別の関係者は、推薦書素案の精度とは別に、現実問題として「委員が選びやすい環境づくり」の重要性を指摘。一例として「縄文遺跡がある全国各地の関係者が『縄文』を応援するようになれば、(関係者から)後で文句を言われる恐れも少ない」と語った。北海道・北東北に地域を限定する理由などを広く知ってもらうため、同遺跡群をまとめて学べるような書籍類の発行を望む声も出た。

 「縄文」は09年に初めて暫定リストに記載され、審査対象となった13年から17年まで5年連続で国内推薦が見送られてきた。この間、「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」(福岡県、登録済み)や「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎、熊本県)などが推薦を勝ち取った。

 今年の審査に向けて、多くの関係者が「縄文」を有力視しているが、暫定リストに記載された他の候補が推薦書素案の完成度を上げ、新たに審査対象に加わる可能性もある。

 4道県の実務者でつくる世界遺産登録推進会議の岡田康博座長(県世界文化遺産登録推進室長)は「最終的な目標はあくまで登録。国内推薦を得るのは、その過程にすぎない。登録実現を見越して課題になりそうな点を洗い出して対応するなど、万全の準備を進めていきたい」と話している。

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