インド・ビハール州に住む「ムサハール」の人々(2017年8月18日撮影)
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インド・ビハール州の村でネズミを食べる「ムサハール」の男の子(2017年8月18日撮影)
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インド・ビハール州の村でネズミを手にする「ムサハール」の男性(2017年8月18日撮影)
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インド・ビハール州の村でネズミで遊ぶ「ムサハール」の子どもたち(2017年8月18日撮影)
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インド・ビハール州の村でネズミを見る「ムサハール」の人たち(2017年8月18日撮影)
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インド・ビハール州の村でネズミを調理する「ムサハール」の男性(2017年8月18日撮影)
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【1月6日 AFP】インド・ビハール州に住むペカン・マンジーさん(60)は、ちょろちょろと腕を這いあがってくるネズミのすばしっこさに苦労させられたようだったが、何とか捕らえて地面に押さえつけ、その頭部を数回叩いて殺した──。

 マンジーさんが住む泥とわらでできた小屋の前の埃っぽい庭では、集まってその様子を見守っていた近所の人々から歓声が上がった。「ネズミシチューを作るには15分かかる」。素手でネズミを解体しながらペカンさんはそう話した。「ここではみんなが作り方を知っている大好物だ」

 ペカンさんは、インドで最も疎外された社会集団の一つ、「ムサハール(Musahar)」に所属する一人だ。約250万人いるムサハールの人々は別名「ネズミを食べる人」と呼ばれ、カースト(身分制度)の最下層「ダリット(Dalit)」からもさげすまれている。

 近所の住民、28歳のラケシュ・マンジーさんは自らの暮らしを嘆き、「1日中何もせずに家で座っている。農場で仕事がある日もあるが、他の日は何も食べないか、ネズミを捕って手に入るだけの穀物と一緒にそれを食べる」と説明した。

 ペカンさんはこんがりと焼けたネズミを火から下ろし、肉の柔らかい部分をつつきながらこう語った。「国や州の政府は変わったのかもしれないが、われわれにとっては何も変わっていない。これまで通り食べて、生きて、眠るだけ。先祖たちと同じように」

 ペカンさんがネズミの肉を手でさいてボウルに入れ、からし油と塩で味付けすると、周りにいた10人ほどの男性や半裸の子どもたちから次々と手が伸び、ほんの数秒間でごちそうは消えた。

 こうした状況について、ビハール(Bihar)州で2014年にムサハールとしてインド初の州首相に就任したジタン・ラム・マンジー(Jitan Ram Manjhi)氏は、「われわれの生活や将来を変えられるのは、教育の他にない」と語る。「私の出身コミュニティーは非常に虐げられてきた。政府の記録にさえ実際の人口は記載されていないと思うが、ざっと800万人はいるだろう」

 マンジー氏がインド最大の人口を抱えるビハール州のトップを9か月間務めたことは、ムサハールにとって大きな前進だったと考えられている。元州首相は子どもの頃、両親を雇っていた裕福な地主の下で牛追いをしていた。当時については「まるで強制労働のようで、毎日の仕事の見返りに1キロの穀物を受け取っていた」と説明したが、今日でも多くの人たちの状況はあまり変わっていないことを認めた。

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