関電、東電に電力融通 原発再稼働で供給に余力 企業向け節電取引も準備 
2018.1.27 09:45
http://www.sankei.com/west/news/180127/wst1801270018-n1.html

 厳しい寒気で首都圏を中心に暖房の利用が増え、電力の需給が切迫している。関西電力は26日までに3日連続で東京電力管内に電力を融通した。関電管内では昨年5月以降、2基の原発が再稼働し、比較的、供給力に余裕ができていたためだ。関電も突発的な需給逼迫(ひっぱく)を警戒しており、緊急時には事前に契約した企業に節電の対応をとってもらう方針だ。
 東京電力ホールディングスは電力需要が急増した場合、事前に契約した企業に節電してもらう「ネガワット取引」を今月22日に初めて実施。23日からは他の電力会社からの応援供給を受け始め、関電は24日から26日まで最大28万〜60万キロワットの電力を融通できるようにした。
 関電では高浜原発3、4号機(出力各87万キロワット、福井県高浜町)が順次再稼働。これに火力発電や水力発電などとあわせて全体の発電量をコントロールしており、関電関係者は「昨冬までは原発が停止していたが、今冬は再稼働によって供給力が増した。現在、東電が予想を上回る需要増に対応できていないのは、原発が停止した状態だからだろう」と分析した。
 各地で大雪が降った今月22〜25日、関電管内での供給力に対する需要を表す電力使用率は86〜92%で推移。今冬のシーズンで使用率が「厳しい」とされる95%を超えた日はない。ただ全国的に需給が厳しくなれば、融通しあえる余裕も乏しくなる。関電は東電と同様にネガワット取引ができる体制をとっており、想定外の電力不足に備えている。
 ネガワット取引 事前に「調整力契約」を結んでいた企業に、電力使用を抑えてもらうよう要請。協力した企業には対価を支払う仕組み。節電分を発電量とみなすことができる。制度は米国で先行して普及した