首都圏を走る高速道路を郊外で環状に結ぶ「首都圏中央連絡自動車道」(圏央道)が平成36年度に全面開通する計画が決まった。既に茨城、埼玉、東京の3都県で全線開通し、東名、中央、関越、東北、常磐、東関東の6つの高速道路と接続。首都高速などで都心を経由せず、他の高速道路と縦横に行き来できるようになった。「首都圏回廊」の誕生に伴い、所要時間の短縮や都心の渋滞減少といった効果を生み出している。

 また、その交通の利便性が注目され、圏央道沿線には物流施設や工場が相次いで進出し、雇用も創出している。圏央道はインフラ整備で継続的に経済効果を生み出す「ストック効果」に加え、渋滞の削減を通じて生産性の向上にも寄与している。全面開通に向け、さらに賢く使う知恵が問われそうだ。

 千葉県内で未開通の松尾横芝インターチェンジ(IC)−大栄ジャンクション(JCT)間の18.5キロは36年度に整備される。この区間が完成すれば、先行して開業する神奈川県内の区間を含め、総延長約300キロの圏央道が当初の構想から50年以上を経て全面開通する。

 圏央道の役割は明確だ。首都圏から放射状に延びる高速道路を横断し、都心を通らずに別の高速道路を利用できるバイパス効果である。都心から半径40−60キロ圏を渡り廊下で結び、渋滞なしに縦横に行き来する首都圏回廊としての機能である。

 圏央道の段階的な開通で、首都圏の広域交通は大きく変わった。27年10月に圏央道の埼玉県内の区間が開通し、東名高速と東北道がつながった。両高速間の所要時間は首都高を経由した場合、2時間以上かかっていたが、これが圏央道経由にすると約75分に短縮した。

 さらに昨年2月には茨城県内の区間も完成し、常磐道のほか、東関東道を経由して成田空港にも接続した。それまで中央道から常磐道までの通行は、首都高経由が7割を占めていたが、圏央道につながったことで3割に激減。所要時間も短くなり、都心部の渋滞も減少した。

 圏央道の整備は、企業立地にも追い風となっている。最近では米アマゾンなどネット通販による宅配が急増しているが、圏央道沿線には約1600カ所の物流施設が集積し、首都圏に対する配送基地などとして暮らしや産業を支える役割も果たしている。

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