https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180217-00000012-khks-pol

 東日本大震災で被災した宮城県石巻市の仮設住宅で、住民が退去後も倉庫代わりに使う不適正利用や、退去の際に粗大ごみを集積所に放置する事例などが目立つ。仮設からついのすみかに引っ越す過渡期ならではの課題で、市職員は対応に苦慮している。

 市によると、仮設住宅を物置のように使ったり、本来は再建先の住居があるのに仮設住宅で暮らし続けたりする不適正利用がある。入居者が死亡し、部屋が生前のままの住戸もあり、1月現在で66世帯が不適正利用に当たるという。

 市は入居時の契約に従って返還命令の文書を通知するなどして対応。本人が死亡するなどして不在の場合は親族を捜して手続きを進めるなど手間が掛かり、自立支援などの通常業務にも影響が出ている。

 一方、粗大ごみの放置も深刻だ。石巻市南境の仮設住宅のごみ集積所では今月上旬、「不法投棄は警察署に通報します」と書かれた立て看板の脇に布団や座椅子が捨てられていた。

 市は粗大ごみに撤去を求める貼り紙をした後、一定期間たっても放置された状態であれば代わりに処分する。不法投棄は南境だけでなく他地域の仮設住宅でもあり、本年度は処分費で約40万円を支出した。

 市生活再建支援課の本田亨課長は「職員が一つ一つの課題に対応しなくてはいけないので、本来の仕事に支障を来している。不適正利用やごみの不法投棄は絶対にやめてほしい」と話している。