政府が今国会に提出予定の医療法と医師法の改正案の全容が18日、分かった。医師が少ない地域で勤務した医師を厚生労働相が認定し、認定を受けた医師を病院経営の責任を担う管理者(院長など)になる際の評価基準にする認定制度の創設などが柱。医師の少ない地域での勤務を促し、地域間で医師の人数に差がある「偏在」を解消する狙い。医師偏在の度合いを示す指標を導入し、医師の配置調整にも乗り出す方針だ。

 認定制度は、医師不足が問題となっている地域医療を支えるため、こうした地域で勤務する医師に、インセンティブ(動機付け)を与える仕組み。医師不足地域で勤務した医師自身が認定申請し、厚労相が認定証明書を交付する。認定する際の勤務期間は今後検討する。平成32年4月1日の施行を目指している。

 医師偏在に関する指標はこれまで、一般的に「人口10万人対医師数」が用いられているが、医療ニーズや将来の人口動態などは考慮しておらず、医師偏在対策の「モノサシ」になっていないとの指摘がある。このため、新たに導入する指標では将来の人口動態を踏まえた上で、医療ニーズに基づき、地域や診療科ごとに医師が多いか少ないかを客観的に把握できるようにする。

 都道府県の権限を強化するのも柱の一つ。各都道府県は医師偏在に関する新たな指標を踏まえ、医師の確保対策や目標を明記した「医師確保計画」を策定し、3年単位で見直す。都道府県内の「医師少数区域」と「医師多数区域」を指定し、多数区域から少数区域に医師が配置されるように調整する。

 このほか、都道府県知事が大学の医学部に対し、定員の一部に地域枠や地元出身入学者枠を設けたり、その枠を拡充したりするよう要請できる権限を与える。厚労省の調査によると、大学医学部の入学者のうち地元出身者が卒業後も、その都道府県に定着する割合は約8割に上っており、こうした傾向を踏まえた対策だ。都道府県の権限強化は31年4月1日の施行を予定している。


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