【2月21日 AFP】ダイエットに関するアドバイスでは、炭水化物か脂肪の摂取量を減らすよう言われることが多いが、実際には糖質制限も脂質制限も似たり寄ったりだとする研究論文が20日、発表された。

 米国医師会雑誌(JAMA)に発表された論文によると、個人の遺伝的特徴やインスリン代謝についても、食事療法がその人にとって有効かどうかの主要な要因ではないという。

 この研究結果は、米国の660億ドル(約7兆1000億円)規模のダイエット産業、特に最近流行のDNAダイエットに影響を与えるかもしれない。DNAダイエットは、個人の遺伝子に合う最適なダイエット方法を提示するとうたっているためだ。

 論文の主執筆者で、米スタンフォード大学(Stanford University)のクリストファー・ガードナー(Christopher Gardner)教授(医学)は「友人がダイエットを始めて成功し、別の友人が同じダイエットを試みたが全く効果がなかったという話は、誰もが聞いたことがあるだろう」と話す。

 「これは、われわれが皆大きく異なっているせいで、この多様性の理由については解明が始まったばかりだ。おそらく、最も効果的なダイエット法は何かと問うのではなく、誰々にとって最も効果的なダイエット法は何かと問うべきなのかもしれない」

 今回の研究では、18〜50歳の被験者609人(女性が57%)を低脂肪ダイエットか低炭水化物ダイエットのどちらかのグループに無作為に割り当てて、そのダイエット方法を1年間継続して実行させた。

 最終的に、減少した体重の平均値は両グループともに約5.9キロだった。

 被験者の中には平均よりはるかに痩せた人(最高で27キロ減)もいた一方、9キロほど太った人もいた。だが、「ダイエット法」と「より優れた減量効果」との間には何の関連性も見つからなかった。

 論文によると、実験開始から1年後の時点で「健康的な低脂肪ダイエットと健康的な低炭水化物ダイエットとの間には、体重の変化に優位な差はなかった」という。

■食べることに気を配る

 研究チームは実験開始時、被験者のゲノムの一部を解析し、炭水化物代謝や脂肪代謝を変調させるタンパク質の生成に関連する特定の遺伝子パターンを探せるようにした。さらに被験者らにブドウ糖を空腹時に服用させ、各自の体のインスリン分泌量の測定も行った。

 論文では、「遺伝子型の傾向も、実験開始前のインスリン分泌量も、どちらも体重減少に対する食事効果とは関連がなかった」ことを指摘している。

 また減量の助けになると思われるのは、糖質と精粉の摂取量を抑え、できるだけ多くの野菜と自然食品を食べるようにすることだという。

「今回の実験に関しては、双方のグループで体重が最も減少した人々から、食べ物との関わり方を変える助けになったとの声が聞かれた。以前に比べ、食べることにより気を配るようになったと彼らは話している」とガードナー教授はコメントした。(c)AFP

2018年2月21日 11:45
AFPBB News
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