産経新聞 2018.4.12 07:07

「金魚の街」として知られる大和郡山市の柳町商店街で、数十匹の金魚が優雅に泳ぐユニークなオブジェ「金魚電話ボックス」。
地元住民や観光客に人気を博してきたが、著作権侵害をめぐる騒動を発端に近く撤去されることが決まった。
街の名物が姿を消すことを受け、市民からは存続を望む声が広がっている。

平成26年、コーヒー専門店の一角に設置された金魚電話ボックスは、インターネットなどで反響を呼び、人気の観光スポットになった。
だが、福島県いわき市の現代美術作家、山本伸樹さん(62)が自身の作品に酷似していると著作権侵害を主張。
管理する商店街組合は「著作権を侵害しているとは認識していない」としながらも、著作権をめぐるトラブルを考慮して撤去を決めた。

一方で、存続を求める声が広がりを見せている。
同市の元高校教諭、工藤勉さん(66)は、撤去の知らせを聞き「金魚で大和郡山を盛り上げるにはオブジェが必要」と9〜11日、市内で署名活動。
3日間で全国12都府県の小学生から80代まで161人分が集まった。また、3月29日〜4月10日にはインターネット上でも署名を募り、合計917人分が集まった。

工藤さんは11日、大和郡山市の上田清市長と商店街組合に署名簿を提出した。
上田市長は「作品の維持・管理に尽力いただいた方々に心から感謝を申し上げる。これまでの経緯を踏まえた苦渋の決断を理解する」とコメント。
工藤さんは「受け取っていただけて安心したが、具体的な話は出ず残念。ますます守りたい気持ちが高まった」と話した。

撤去が決まって以降、金魚ボックスを一目見ようと各地から観光客らが訪れ、名残惜しそうに写真を撮影している。

署名に協力した同市の会社員、小野千鈴さん(27)は「(市の)名物になってるので、なくなってほしくない」と存続を願っていた。

https://www.sankei.com/region/news/180412/rgn1804120044-n1.html