◆「ギラン・バレー症候群」完治に光 千葉大病院が臨床治験で成果

千葉大医学部付属病院(千葉市)は、手足のまひを伴う難病、ギラン・バレー症候群の患者に行った臨床治験の結果、25年ぶりの新療法につながる成果があったと発表した。
赤血球が壊れる溶血の抑制や血栓症の予防に使用される薬「エクリズマブ」を活用した世界初の手法で研究成果は英国の国際医学誌に掲載された。
実際の医療現場で活用されれば、平成4年に始まった血液製剤「免疫グロブリン」を使った治療法以来の新療法となるという。

研究は同病院神経内科の桑原聡教授(58)を中心とする研究チームが平成27年8月〜28年4月にかけて実施。
発症後2週間以内の32〜74歳の男女の患者34人を、グロブリンとエクリズマブを使用したグループとグロブリンのみ使用したグループに分け、経過を観察した。

その結果、エクリズマブを追加して投与した患者のグループは治験開始から6カ月後に、歩ける段階まで回復した割合が投与しなかったグループより20ポイント高い92%に達した。
走れるまで回復したケースでは投与がなかったグループより56ポイント高い74%となり、後遺症がなく、比較的安全な回復につながる傾向がみられたとしている。

同大では実用に向け、今後、欧米の研究機関とも連携し、より規模の大きい国際的な臨床治験を行う予定。
国際的な治験でも成果が得られれば数年のうちに診療現場への導入につなげたいとしている。

桑原教授は「ギラン・バレー症候群の国際的な治療法の主流になる可能性のある画期的な成果。
全ての患者さんを救えるようにしたい」と話している。

【用語解説】ギラン・バレー症候群
急速に四肢に力が入らなくなる珍しい病気で、日本でも毎年約1400人の新規患者が発症。
約2割の患者に後遺症が残り、患者の約5%が死に至る。
発症前に、カンピロバクターによる食中毒、肺炎を起こす細菌マイコプラズマによる下痢や風邪といった「先行感染」といわれる症状がみられる。
感染で発生した抗体が患者の末梢(まっしょう)神経にダメージを与えることが原因の一つとされる。

産経ニュース 2018.4.27 07:03
http://www.sankei.com/region/news/180427/rgn1804270041-n1.html