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5月11日 4時31分
米朝首脳会談が来月12日にシンガポールで開催されることになりました。シンガポールに決まった背景や双方の狙いはどこにあるのでしょうか?

アメリカの狙い

アメリカ政府が、米朝首脳会談をシンガポールで開催することで北朝鮮側と合意したのは、米朝双方にとって中立的と言える国の中で、最適の場所だと判断したためだと見られます。

開催地をめぐってトランプ大統領は、韓国と北朝鮮の軍事境界線にあるパンムンジョム(板門店)が象徴的で、歴史に残る会談場所としてふさわしいと関心を示していました。一方で、アメリカ政府内には、パンムンジョムでは、トランプ大統領が出向いたような印象を与えかねないと懸念する声がありました。

このため当初から第三国が望ましいという意見が出ていて、シンガポールやスイスなどでの開催が検討されていました。

シンガポールは、アメリカと北朝鮮、双方ともに国交があり、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が専用機で直行できる距離にあることなどを考慮した結果だと見られます。

北朝鮮の狙い

北朝鮮がシンガポールでの米朝首脳会談の開催でアメリカと合意したのは、北朝鮮の大使館が置かれるなど、両国の親交があり、過去、米朝の政府間協議が行われた実績があることが背景の1つにあったと見られます。

会談の開催場所については、北朝鮮は当初、アメリカに対して、ピョンヤンを提案していたと伝えられていましたが、アメリカはこれに応じないとみられていました。一方で、シンガポールは長年、北朝鮮が経済活動の拠点にするなど、人や経済の交流があり、大使館も置いていて、北朝鮮にとって親交のある国です。

先月も東南アジアを担当する外務次官が率いる代表団がシンガポールを訪れて、政府間で両国関係について意見を交わしていました。

過去には、アメリカとの政府間協議の開催地となった経緯があり、10年前の2008年には、北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議に向けて、核開発計画の検証方法と核施設の無能力化の見返りとしての北朝鮮へのエネルギー支援をどう行うのかについて両国が意見を交わしました。

また、アメリカとの直接対話が途絶えていた中でも、北朝鮮外務省の高官がアメリカの元政府当局者などと意見交換のために接触する場として、たびたび、シンガポールが利用されてきました。

さらにキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長が専用機で移動する際、どこにも経由することなく、直接、訪問することができるとの見方も出ていて、キム委員長の移動や警備の態勢にも支障がないと判断したものと見られます。