インターネット上での著作物の利用を拡大する改正著作権法が18日、参院本会議で可決、成立した。著作権者の許諾を得なくても書籍などを電子データ化でき、書籍の検索や論文などに盗用がないかを検証しやすくなる。ネット活用が進む教育現場でも新聞などを教材として使いやすくする規制緩和を盛り込んだ。改正法は一部を除き来年1月1日に施行される。

 著作物の電子データ化は、原則として著作権者の許諾が必要だった。法改正により、許諾なしで書籍の内容をスキャンしてサーバーに蓄積できるようになる。本文中のキーワードなどで検索ができるようになり、欲しい書籍が探しやすくなる。閲覧できる部分は本文の数行など一部に限定し、書籍が売れなくなるなどの不利益を著作権者に与えないよう配慮した。

 許諾を得ずに済むことで、ネット事業者などが大量の論文データを収集しやすくなり、論文に盗用がないかを照合する新サービスを提供できるようになる。

 また、学校の授業で教員が小説や新聞記事の電子データを教材として生徒のタブレット端末に送信する場合も許諾を不要とする。美術展などで端末に掲載する作品解説に写真も使えるようになる。従来は冊子などの紙媒体に限られていた。

 本の内容を音声化した「録音図書」はこれまで視覚障害者を対象にした場合のみ、許諾が不要だったが、手が動かないなどの障害によって読書が困難な人も対象に加えた。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180519-00000059-san-cul