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北朝鮮ペース、警戒の声=トランプ氏の交渉長期化示唆で
2018年6月3日 16:03 発信地:北朝鮮
【6月3日 時事通信社】トランプ米大統領が12日に開く史上初の米朝首脳会談を前に、短期間での非核化要求から長期的な交渉容認に立場を転換したことに懸念が高まっている。トランプ氏は「交渉の達人」を自任するが、米メディアからは、過去の米政権同様、非核化交渉を長引かせる北朝鮮の術中にはまり、失敗に終わりかねないと冷ややかな視線を向けられている。

 トランプ氏は1日、金正恩朝鮮労働党委員長の最側近、金英哲党副委員長とホワイトハウスで会談した後、米朝会談を予定通り開催すると発表。記者団に「(首脳会談は)プロセスの始まりだ」と述べ、会談の複数回実施など交渉の長期化を示唆。北朝鮮の主張する「段階的な非核化」を受け入れる構えを見せた。

 ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は2日、方針転換について、北朝鮮との非核化交渉に臨み、失敗に終わったクリントン、ブッシュ(子)両政権の二の舞いになる恐れがあると指摘した。過去の交渉で北朝鮮は、米国を延々と続く交渉に引き込み、エネルギー支援などの見返りを「持ち逃げ」し、結局は核開発を続けてきた経緯がある。

 米国の求める「完全かつ検証可能で、不可逆的な非核化(CVID)」受け入れを正恩氏が確約していない段階で、トランプ氏が融和的な姿勢に転じたことについて、「首脳会談の成功を示す基準を変更した」(CNNテレビ)との受け止めも出ている。トランプ氏は首脳会談を「知り合いになるための機会」のようなものだとハードルを下げており、非核化進展の見通しは既に不透明感が増している。

 一方、ワシントン・ポスト紙は、トランプ氏が金英哲氏との会談で笑顔を見せたり、記念撮影したりした厚遇ぶりを批判的に報じた。クリントン元大統領が、拘束された米国人記者を解放するために2009年に平壌を訪問し、故金正日総書記と会談した際に笑顔を見せなかったことと対比。「(非核化で)譲歩を引き出す前に、北朝鮮に宣伝戦の勝利を与えた」という元対北朝鮮交渉担当者らの見方を伝えた。(c)時事通信社