受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案は15日の衆院厚生労働委員会で、自民・公明両党などの賛成多数で可決された。19日にも衆院を通過し、参院に送付される見通し。参考人質疑では、規制が緩い加熱式たばこについて「紙巻きたばこと同様の規制にすべきだ」と異論が噴出。調査研究の結果に基づき、加熱式たばこを同様に取り扱うなど、必要な措置を速やかに講ずるとした付帯決議も15日、可決した。

 改正案は、焦点だった飲食店を原則屋内禁煙(喫煙専用室は設置可)とするが、例外的に客席面積100平方メートル以下で個人経営か中小企業の既存店は「喫煙」「分煙」などと表示すれば喫煙を認める。加熱式たばこも規制対象だが、受動喫煙による健康影響が未解明として、加熱式たばこ専用の喫煙室では飲食もできる内容になっている。

 全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長は、世界の加熱式たばこの販売量の大半を日本が占めていることを挙げ、「健康被害が実際に出始めてからでは遅い」と指摘。名古屋市立大学病院の大手信之副院長は「食事をすると滞在時間が長くなり、煙が付着したり吸入したりすることもある。健康影響が将来的にわかってから規制を緩めるのは可能だろうが、その逆は難しいのではないか」と話した。

 日本肺がん患者連絡会の長谷川一男代表は「改正案では、飲食店の55%が例外的に喫煙できる状況にあり、受動喫煙をなくせるのか疑問だ。安全性が確立していない加熱式たばこは紙巻きと同様に規制すべきだ」と訴えた。

 与党は、20日までの会期の延長を視野に、今国会での成立を目指す。(黒田壮吉、阿部彰芳)

2018年6月16日05時18分
朝日新聞デジタル
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