ほうじ茶飲料の市場が拡大していることが、茶飲料メーカーの伊藤園(東京都渋谷区)の調べで分かった。大手メーカーが国産原料を使った商品を投入し、2017年の市場規模は10年前に比べて3倍以上の340億円に成長した。緑茶などに比べてカフェインが少ないことに加え、リラックス効果がある香ばしい香りが、健康志向の消費者に支持されている。

 同社は、ほうじ茶飲料で国内市場の約7割のシェアを占める。17年度のほうじ茶飲料の販売量は、前年度から15%伸びた。5年前の2倍、10年前からは7倍に急拡大しており、市場をけん引している。

主力はペットボトル飲料「お〜いお茶 ほうじ茶」(525ミリリットル、151円)で、原料に国産の一番茶を使用。一番茶にはうま味や香り成分が豊富に含まれており、「引き立つ甘香ばしさが女性を中心に消費者に支持されている」(同社)。

 コカ・コーラシステムは6月、国産茶葉を使った「綾鷹 ほうじ茶」(525ミリリットル、151円)の販売に乗り出した。茶葉を細かく粉砕した粉末を混ぜ込むことで、入れたてのほうじ茶にあるにごりを再現。同社は「急須で入れた味に近づけた」と胸を張る。

 ほうじ茶は、収穫後の茶葉を乾燥して緑茶に加工した後、さらに強火で赤茶色になるまで焙煎(ばいせん)したもの。伊藤園によると、緑茶やウーロン茶などの“無糖茶”人気を追い風に需要が急拡大している。

 ほうじ茶人気を商機と捉え、製菓会社は国産茶葉を使った菓子の新商品を相次いで売り出した。

 明治(東京都中央区)は6月、国産ほうじ茶を風味付けに使ったチョコレート菓子「マカダミア ふわりほうじ茶」(63グラム、238円)を発売。ミルクチョコレートのこくのある甘さと同時に、ほのかに香るほうじ茶の香ばしさを味わえるように原料のバランスにこだわった。同社は「売り上げは好調」と話す。

 ハーゲンダッツジャパン(東京都目黒区)は今月10日、アイスクリーム菓子「ハーゲンダッツ クリスピーサンド『ほうじ茶 和の菓〜黒糖仕立て』」(60ミリリットル、294円)を発売した。「原料に国産一番茶を使う他、甘味としてこくのある黒糖を使うことで、ほうじ茶の芳醇(ほうじゅん)な風味を際立たせた」と自信を見せる。

 こうした動きを受け、ほうじ茶の加工販売を手掛けるカメタニ(奈良県山添村)は今年から、菓子原料となるほうじ茶粉末の生産に乗り出した。菓子メーカーなどから問い合わせが相次いだためだ。今春に新工場を建設し、粉末加工機を導入。同社は「スイーツを中心に、ほうじ茶需要の拡大に可能性を感じている」と期待を寄せる。

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