https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-45715025

インドネシア津波 「最悪のシナリオ」が現実に
2時間前

アナ・ジョーンズ、BBCニュース(シンガポール)

インドネシアでは毎日のように地震が起きるが、スラウェシ島中部パルを襲った揺れと津波の規模は地元住民にとっても科学者にとっても想定外だった。

9月28日に発生したマグニチュード(M)7.5の地震と津波による死者は、これまでに少なくとも840人が確認されたが、最終的な人数は数千におよぶ恐れがあると政府は言う。

複数の科学者はBBCに対して、地形やタイミング、事前警報が不十分だったことなどが合わさって、パルの被害は「最悪のシナリオ」とも呼べるものになってしまったと説明した。

危険な位置

地震は地球の地殻変動によって起きる。プレートがこすれ合ったり、互いの下に潜ったりするのが原因だ。この現象は始終起きているが、動きが大きかったり、人口密集地に近かったりすると、甚大な被害をもたらすことがある。

28日を通じてパルでは細かい揺れが続いていたが、午後6時過ぎにパル・コロ断層がいきなりずれた。震源は海岸から近く、深さわずか10キロで、M7.5の規模の揺れを引き起こした。
1995年からパル・コロ断層を研究してきたバンドン工科大学のハムザ・ラティーフ博士によると、パルは厚い土砂の断層の上に位置しており、これが揺れの影響を拡大させたと話す。

地震の際に岩盤は振動するだけだが、土砂層は液体のように大きく動く。もろい造りの建物はひとたまりもない。
「泥を運んで造成した埋立地は、岩盤と比べてもろい。どこでも同じだ」と、インドネシアに詳しい米国の地質学者、ジェス・フィーニックスさんはこう説明する。地震については「それが気にすべき点だ」とフィーニックスさんは言う。

予想外の大波

「少なくとも津波については、パル・コロ断層は通常ならあまり注目されない」と、シンガポール国立大学のフィリップ・リュウ・リファン教授は言う。

なぜなら、通常なら縦ずれ断層の方が津波が発生しやすいが、パル・コロ断層は横にずれているからだ。
「何が実際に起きていたのか、突き止めようとしている」とリュウ教授は話す。

可能性としては、地震によって海底で地滑りが起きて海水を動かしたことも考えられるが、断層の解析が不正確だった可能性もあると教授は言う。「まだよく分かっていない」。

しかし、波がいったん動き始めれば、長さ10キロの狭い入り江の奥に位置するパルは、なす術もなかった。
岸から遠い沖にいる間は津波はさほど危険ではないが、波が陸に近づくと海底の土砂を巻き上げる。

フィーニックスさんはツイッターで、「波は振幅(揺れの上下運動)と周波数(波の間隔)で計る。海洋上の津波は低振幅で低周波だが、時速965キロで移動することもある! 波が岸に近づくと、海底はどんどん浅くなる。それが危険だ」と書いた。
(リンク先に続きあり)

(英語記事 Indonesia tsunami: Palu hit by 'worst case scenario')