■「地獄の門が開かれた」、カリフォルニアが直面する破壊の序章にすぎない

 有名人の豪邸からは炎が噴き出し、オレンジ色に染まった砂浜では家畜たちが電柱につながれている。あちこちで住宅が燃え、破裂音が鳴り、炎が燃え移り、焼けた木が倒れる。

 米国カリフォルニア州の山火事が記録を打ち立てようとしている。湿度が急激に下がり、長年の干ばつで乾燥した植物に、乾いた熱風が吹き付けた2018年11月8日、北カリフォルニアの丘陵地とロサンゼルスの北東で山火事が発生した。北カリフォルニアの山火事は「キャンプ・ファイア」、ロサンゼルス近郊の山火事は「ウールジー」、「ヒル」と名づけられた。

 14日夜の時点で、合わせて約970平方キロが燃え、少なくとも58人が死亡した。

 北カリフォルニアの山あいに位置するパラダイスの町は完全に破壊された。南カリフォルニアのウールジーでは、ロサンゼルス郡西部とベンチュラ郡南東部の400平方キロ以上が燃え、高級住宅が並ぶ沿岸部のマリブも被害を受けた。7日にカントリー音楽専門バーで銃乱射事件が起き、12人の命が奪われたばかりのサウザンドオークスにも避難命令が出された。合わせて25万人以上が避難生活を余儀なくされている。

 炎は今も燃え広がっている。消防士や気候学者、カリフォルニア州知事の見解が正しければ、この猛烈な火災は、カリフォルニア州がこれから直面する破壊の一つにすぎない。

■前代未聞の乾燥した11月

 8日午前6時半ごろ、シエラネバダ山脈の麓を流れるフェザー川の上流部ノースフォークに、消防隊が派遣された。カリフォルニア州の大手電力会社PG&Eのポー・ダム近くの高圧送電線の下で、植物が燃えているという通報があったためだ。6時43分、第一陣が現場に到着。これは大火災の始まりにすぎないと消防士たちは悟った。

 カリフォルニア州の気候は大きく分けて2つの季節から成る。乾燥した長い夏と湿度の高い温暖な冬だ。農業には適しているものの、乾いた夏は山火事が起きるのに最適な条件でもある。

 サクラメントにある米国立気象局の気象学者クレイグ・シューメーカー氏によれば、かつては1カ月以上前に秋雨が降り始め、北カリフォルニアの山火事シーズンは終わっていたという。暦の上でも、10月1日から雨期に入る。しかし、2018年は違った。

 雨はほとんど降らず、植物は真夏並みに乾燥していた。これほど乾いた11月は知らないと、シューメーカー氏も話している。「前代未聞です。まるでマッチ箱のような状態です」

 火災現場では、朝の早い時間、消防隊から風速約10メートルという報告があった。その後、最大風速15〜20メートルを記録。炎はフェザー川を下り、小さな町が点在する山麓へと向かった。

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