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【政治デスクノート】ネット本C政治家オブザイヤー
 平成30年も残りあとわずか。この一年を振り返ると、森友・加計学園問題で揺れた通常国会に始まり、出入国管理法改正案をめぐり与野党が激しく対立した臨時国会で終わった感がある。その他、さまざまな出来事があった今年、最も輝いていた政治家は誰なのか−。本紙政治部の記者にアンケートを実施し、「政治家オブ・ザ・イヤー2018」が誰かを探ってみた。

激動する国際情勢の中で

 結果から書くと、安倍晋三首相(64)がダントツだった。

 今年のユーキャン新語・流行語大賞でベスト10に入った「ご飯論法」は、国会で論点をすり替えて、のらりくらりと答弁する首相らを皮肉った言葉だ。野党が国会で安倍政権を追及した「首相案件」などもノミネートされていた。だが、永田町で取材に奔走する記者たちにとって、国会論戦よりも首相の外交手腕の方が印象に残ったようだ。

 「『自由で開かれたインド太平洋』構想を通じて中国の姿勢の変化を促し、7年ぶりの首相の公式訪中など、分かりやすい結果を残した」(中堅)、「トランプ米大統領やモディ印首相ら各国首脳と緊密な関係を築いた」(若手)など首相を1位にした理由のほとんどが外交上の実績だった。

 北朝鮮有事がささやかれた昨年と比べ、今年は南北首脳会談(4月)や米朝首脳会談(6月)など雪解けムードが漂った。貿易と知的財産権をめぐる米中貿易戦争などもあり、めまぐるしく変化する国際情勢の中で日本の立ち位置が改めて問われる一年でもあった。

 特に後半は韓国の不可解な動きが目立った。海上自衛隊への「旭日旗」掲揚自粛要請や国会議員団の竹島(島根県隠岐の島町)上陸、慰安婦に関する日韓合意に基づく「和解・癒やし財団」解散など、いずれも日本として「受け入れられない」ことばかりだった。

 そうした中で、河野太郎外相(55)は「韓国などに毅然(きぜん)と対応した」(ベテラン)、「韓国の度重なる“過去志向”の動きに毅然としたメッセージを発信した」(中堅)ことが評価され、首相に次ぐ2位にランクインした。

 3位の菅義偉(すが・よしひで)官房長官(70)も「携帯電話料金の引き下げや、ふるさと納税の見直し、災害対策などで政権の番頭役として存在感を示した」(中堅)だけでなく、拉致問題担当相としての今後の外交面での期待値が高まっている。

自民党総裁選で明暗

 さて、今回のアンケートでは「期待を裏切った政治家」も併せて聞いた。

 ぶっちぎりで首位だったのが、自民党の岸田文雄政調会長(61)だ。9月の党総裁選への出馬を見送ったが「『決められない男』という印象が定着した」(若手)、「『私はどうしたらいいでしょうか』は衝撃を受けた」(中堅)など、「ポスト安倍」最右翼とされながら煮え切らない態度が決定打となった。

 2位となった自民党の小泉進次郎厚生労働部会長(37)も総裁選の対応が評価を下げた。「石破茂元幹事長(61)に投票することを当日まで明かさず、理由もよく分からなかった」(中堅)。さらに、国会改革や社会保障制度見直しなどを発信したものの大きな実績を挙げられず、「言うだけ番長」(ベテラン)との酷評さえあった。

 総裁選をめぐっては、そんな2人より石破氏の方が好感をもって受け止められていた。「勝つ見込みが薄いのに戦う姿勢を示した」(中堅)、「岸田氏や野田聖子衆院予算委員長(58)が出馬を見送る中で6年ぶりの選挙戦を実現させた」(若手)といった声が多く、菅氏に次ぐ「ベスト4」にランクインした。

もともと期待ゼロ?

 ここまできて「ベスト」「ワースト」ともに、野党議員の名前が出てこないことに気づく。岸田、小泉両氏らは期待していた分、裏切られた印象が強かったようだが、野党議員にはもともと期待すらしていなかったということか。

 かろうじて国民民主党の玉木雄一郎代表(49)がワースト3に滑り込んだ。

 国民民主党は今年9月に代表選を実施し、玉木氏が勝利している。これで与野党の緊張関係が高まるとの記者たちの見立てはあっさりと崩れたようで「『対立より解決』路線を掲げても立ち位置が定まらない」(若手)、「全てが中途半端」(ベテラン)と手厳しい意見が並ぶ。

 玉木氏が打ち出した第3子以降に1人1000万円を給付する「コドモノミクス」や「永田町のユーチューバー」宣言も不発に終わり「本当に政権を取ろうとしているのか疑問だ」(中堅)との声も。政党支持率が1%前後の低空飛行が続くのもいたしかたない。
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