70代の妻の首をネクタイで絞めて殺害しようとしたとして、殺人未遂罪に問われた夫(77)に対する裁判員裁判が平成31年1月、大阪地裁で開かれた。

 妻は認知症で、「老老介護」の末の思い詰めていたといい、地裁は「経緯は十分に酌むべき」として懲役2年6月、執行猶予4年(求刑懲役4年)を言い渡した。「人生100年時代」に突入しようとする中、介護を受ける側も担う側も75歳以上という「超老老介護」世帯も3割を超えた。専門家は「老老介護世帯が第三者に助けを求められる仕組みが必要だ」と訴える。

■便箋に「もうあかん」

 「お父さん何するの、やめて」

 公判資料などによると、事件は平成30年8月6日午後2時ごろ、大阪府門真市にあるUR団地の一室で起きた。夫が6畳和室で妻の首にネクタイを巻き付け、絞めた。

 その後、夫はベランダで自分の首を包丁で切りつけて自殺を図った。しばらくして妻は意識が戻り、ベランダで倒れていた夫を発見。妻は夫を助けてもらおうと、近所の人らに通報を呼びかけた。妻は、まぶたの鬱血(うっけつ)など2週間の軽傷を負った。

 公判で夫は起訴内容を全面的に認めた。検察側の冒頭陳述によると、25年にがんの手術をして以来、思い通りに体を動かせなくなったが、その2年後、妻が認知症になった。介護を続けていたが、日ごろから「つらい」「もうあかん」などと、便箋(びんせん)やノートにつづっていた。

 「2人とも持病がいっぱいある。ぼけたらみじめ。一緒に責任を果たす。1人になっても元気でがんばってよ」

 長女に宛てた「遺書」も見つかった。

■「超老老介護」3割も

 被害者の妻は捜査員に複雑な心情を述べていた。

 「お父さんは精神的に思い詰めていたかもしれません。お父さんを怖いと思います。しかし、お父さんがいなくて寂しいし、家に帰ってきてほしい」

 迎えた判決公判。地裁は「夫に第三者の支援を十分検討する知識や体力があったとはうかがえない。ほかの選択肢を考えられず、思い詰めて犯行に至った」と指摘。事件に至る経緯は十分酌むべきとした上で「犯情は重いとはいえない」と述べた。執行猶予付きの判決は、老老介護の苦境を考慮した地裁判断だった。

 老老介護は年々増え、さらに“高齢化”もしている。

 厚生労働省が28年に実施した国民生活基礎調査によると、介護する人とされる人が同居する世帯のうち、65歳以上同士の「老老介護」世帯は54・7%と、過去最多を記録。両者とも75歳以上という「超老老介護」世帯は初めて3割を超えた。

以下ソース先で

■「1対1の介護関係避けよ」

■若若介護も

2019年2月18日 10時1分
産経新聞
http://news.livedoor.com/article/detail/16036820/
http://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/f/d/fdf0e_368_c16b89bc406396caff3a0d53f89e0769.jpg