残業上限規制、高プロなど4月1日スタート 人手不足背景で対応に遅れも

 働き方改革関連法が4月1日に施行され、大企業を対象とした残業時間の
罰則付き上限規制などが始まる。長時間労働の是正に向け制度面での
取り組みが本格化するが、人手不足を背景に企業の対応に遅れも
みられる。労組関係者からは「労働時間を適正に把握する必要がある」
との指摘が上がっている。

 残業時間の上限規制は、原則で月45時間、年360時間、最長でも
月100時間未満、年720時間としている。これまで事実上「青天井」
だった残業時間を初めて罰則付きで規制する制度だ。

 しかし、日本商工会議所などの調査によると、上限規制に向け
「対応済み、対応のめどがついている」と回答した企業は約46%に
とどまる。課題(複数回答)では約54%が「人員不足」を挙げており、
有効求人倍率が高い水準で推移する中、対応の苦慮が続きそうだ。

 実現に向け、「残業時間の適正な把握が不可欠だ」と指摘するのは
個人加盟の労組「労災ユニオン」の佐藤学さん。昨年、日立傘下の
企業で働く従業員が上司から「残業を100時間未満に」などと指示された
ケースがあったという。佐藤さんは、上限規制の導入で同様の
「残業隠し」をするケースが出ることを懸念し「表面上の労働時間
抑制では意味がない。法改正が『絵に描いた餅』になってしまう」と
話す。

 中小企業の上限規制適用は2020年4月に猶予されている。4月1日からは、
企業に年次有給休暇(年休)が年10日以上ある労働者に5日の年休取得を
義務づけるほか、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す
「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)なども始まる。


毎日新聞【神足俊輔】(3/30(土) 17:14配信、最終更新:3/30(土) 19:49)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190330-00000040-mai-soci

参院本会議で働き方改革関連法が与党などの賛成多数で可決、
成立し、遺影を手に議場を見つめる「全国過労死を考える家族の会」の
寺西笑子代表世話人(前列左から2人目)ら
=国会内で2018年6月29日、川田雅浩撮影
https://lpt.c.yimg.jp/amd/20190330-00000040-mai-000-view.jpg