スクールバスを待つ小学生に次々に襲いかかり、両手に持った刺身包丁で20人を殺傷した凶悪犯、岩崎隆一(51)。彼をめぐる報道を見ていると、違和感が拭えない。
なぜ、中学時代の写真しかなく、それ以降の足取りが一向に掴めないのか。40年にもわたる孤独の深淵に迫った。

近所に住む50代男性に聞いた。

「隆一は僕の5歳年下で、昔は遊んだこともあります。その頃は隆ちゃんと呼んでいて、大人しい子でした」

 男性は続けて、地元ではそれなりの名士だという岩崎家の事情を明かした。

「今あそこに隆一と住んでいるのは、彼の伯父伯母にあたる夫婦です。あの家は50年以上前からあって、このあたりではかなり古いほう。
以前は隆一の祖父母と伯父伯母、その子供たちで住んでいた。隆一は別の場所で両親と住んでいましたが、隆一のおばあちゃんが一家について絶大な力を持つ厳しい人で、隆一のお母さんと折り合いが悪く、やがて両親は離婚することになった。
おばあちゃんは、僕らが野球してて家にボールが入ったら怒鳴り散らされたり、このあたりでは恐れられていた存在でした」

 その後、岩崎容疑者はこんな境遇に置かれたという。

「隆一は、父親でも母親でもなく伯父夫婦が預かることになった。伯父夫婦には、実子として隆一のいとこにあたる姉弟がいて、端から見たら三兄弟のように見えるけど、伯父さんたちは『預かって育てている子だ』と近所の人間にもはっきりと言っていました。
(子供時代の)僕の目から見ても、隆一よりその姉弟のほうが大事にされているようには感じていて、とくにお姉さんは地元の小学校じゃなく、たしかカリタス小学校に通っていたはずです」(同前)

 奇しくも岩崎容疑者が襲ったのが、カリタス小学校の児童たちだった。警察は、計画的な犯行だったと見ている。何らかの因果関係があるのだろうか。

◆身元確認を拒否

 一方、彼が通っていた地元の小学校時代の同級生は、当時の印象をこう語る。

「低学年の時に一度だけクラスが同じでしたが、あまり良い身なりをしていなかったので、家庭環境がよくないのかなと思っていた。授業中にツバを吐いたり、落ち着きのない子供だった印象があります」

 ところが、小中学校の同級生に取材をしても、どんな少年だったかを覚えている人物はほとんどいない。

「中学の時に一度同級生になった記憶はあるんですが、名前だけで全く覚えがないんですよ。同級生でグループLINEをやっているんですが、今回の件で『誰か詳しい人いる?』って聞いても、みんなよく知らないって言うんですよ。“誰々と親しかった”くらいの話が出てきてもおかしくないのに、それすらない」

 中学を卒業してからの彼の姿は、いよいよ目撃情報がなくなる。だからメディアに出てくる彼の肖像は、いまだに中学の卒業アルバムのままだ。幼少期をともに過ごした近所の男性の記憶も、ここで途絶えている。

「小学校中学校以降のことは覚えてないんです。見ていない時期があって、ここに戻ってきたのは最近だったと思う。
伯父さん夫婦の実子の姉弟はもう家を出ていて、ときどきは帰っているようだけど、今あそこに住んでいるのは伯父さん夫婦と隆一だけです。
夜にどこかに出かけている様子はあったから、夜勤かなにかしているのかと思っていた。
ただ、隆一だとは分かっても、見かけても声をかけたりはしないから何をやっているか聞いたことはありません」

 多くの近隣住民が、昼間は出歩いているのを見ることはなく、見かけるとしたら夜だったと口を揃える。隣に住む40代の女性は、岩崎容疑者との間に“近隣トラブル”があったという。

「去年の夏頃、朝6時ぐらいにいきなりピンポンピンポンと玄関のチャイムが鳴って、夫が出たら“その人”がいて、『お宅に植えてある木の枝が伸びて、葉っぱが目に当たる』ってすごい剣幕で一方的に怒鳴りつけてきたんです。30分くらい口論になった。その件をご近所に話したら、みんな“その人”とは距離を置いているというから、うちもそうしようと」

※週刊ポスト2019年6月14日号

続きソース
http://news.livedoor.com/lite/article_detail/16558237/

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