秋の味覚、サンマ漁がことしもピンチです。
今月10日に解禁された棒受け網漁の小型船が、拠点の北海道根室市の港などにいったん戻りましたが、水揚げが15日まで全くない異例の事態となっています。

サンマ漁の主力となる棒受け網漁のうち、20トン未満の小型船は今月10日に解禁され、およそ40隻が北方四島周辺の沖合で操業をはじめました。

サンマの水揚げが9年連続で日本一の根室市の花咲港などには、15日にかけてすべての漁船がいったん戻ってきました。

ところが、いずれの船もまとまった量が取れず、これまでのサンマの水揚げはゼロという異例の事態になっています。

サンマの資源量について詳しい釧路水産試験場の中多章文調査研究部長は、「例年この時期にサンマ漁が行われる北方四島周辺などにはほとんど魚群がいないとみられる。魚群が日本近海に近づくのは9月下旬以降とみられ、遠くに行けない小型船にとっては特に厳しい状況だ」としています。

乗組員「全くサンマの群れがいない初めての体験だ」
根室市の歯舞漁協に所属する「栄福丸」は、今月10日の解禁日に合わせて、根室市の花咲港を出発し、北方四島沖合の漁場で2日間サンマ漁を試みましたがサンマの魚群は見つからず、1匹も取れないまま、いったん14日の昼に花咲港に戻りました。

乗組員の男性は「全くサンマの群れがいなかった。初めての経験で、全く取れないのでは燃料代をむだにするだけの赤字操業です」と話していました。
いまだに競りができない異例の状況
根室市の花咲港では例年この時期に、小型船が棒受け網漁で水揚げしたサンマが100トンを超えて水揚げされ、港にある卸売市場では「はしり」のサンマとして比較的高値で取り引きされています。ただ、ことしは水揚げがないため、いまだにサンマの競りができない異例の状況です。根室市で水産加工会社を経営する77歳の男性は「全然取れずに帰ってくるなんてこれまでになかった。経営に影響してしまう」と話していました。

2019年8月15日 16時32分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190815/k10012036721000.html