京都市は20日、訪日観光客の増加に伴う「観光公害」の解決に向け、施策の中間とりまとめを発表した。混雑緩和が課題の市バスは運賃を先払いして乗車する「前乗り後ろ降り」方式を均一運賃区間の全62系統に拡大し、急増する宿泊施設に対しては進出抑制につながるよう関連手続きの見直しを進める。いずれも実施は来年度以降となる。

 前乗り後ろ降り方式は、現在100号系統のみ導入している。現状は後ろ乗り前降り方式を均一運賃区間の全系統に拡大することで、市バスの約7割が対象となる。

 乗客が分散するよう、ICカードで利用頻度の高い人を把握し、市バス間の乗り継ぎを無料にする。ICカードの利用が多い市民が主な対象となり、よりすいているバスへの乗り換えを促す。ICカードにポイント還元制度を導入し、37%にとどまっている利用率を上げて乗降時間を短縮する。市バス関連の対策はいずれも来年度中に制度案を固める。

 宿泊施設の急増に対応し、原則として地権者全員の合意が必要としていた地区計画の成立要件を今後、事実上緩和するなどして、宿泊施設の立地規制など住民主体のまちづくり支援を強化する。オフィス不足解消に向け、年内に市の相談窓口で市内の不動産情報を提供するサービスも始める。

 さらに来年度には、宿泊施設整備に関する業者の手続きを改める。地域住民の生活との調和を強く求める方向で検討している。

 12月から京都大と連携してホームページ「京都観光Navi」の閲覧頻度や傾向を解析し、閲覧者のニーズに合った市周辺部などの情報を順次提供することで、観光客の分散化につなげる。

 この日、記者会見した門川大作市長は「あらゆる手法を用いて、観光の課題解決のモデルをつくりたい」と話した。

 市は5月に市役所内にプロジェクトチームを立ち上げ、観光客の一極集中や市バスの混雑、マナー違反などの課題について対策を検討。中間とりまとめには50の取り組みを盛り込んだ。

2019年11月21日 7:00
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