組織運営に関してもう少し言えば、私にはよいリーダーになるために、30代くらいから心がけていたことがあります。
部下に対してどんな厳しいことを言っても嫌われない上司、上司に対しては、どんなに反対の意見を述べてもその上司に嫌われない部下になろう、ということでした。
そうなるには、あらゆる人に対し、誠実に接しなければなりませんが、リーダーたる者、どうしたって、叱らないといけない場面が出てきます。
その場合、大切なのは、人前で叱るということです。
こう言うと、「幕末の侠客、清水次郎長は人前で子分を怒らなかったという。子分にも体裁というものがあるから、そのやり方のほうがいいのでは」と言う人がいます。「褒めるときは人前で、叱るときはこっそりと」というわけです。
まったく違います。次郎長は類いまれな義侠心はあったのでしょうが、これが実話だとしたら、リーダーとしては失格でしょう。千人の子分がいて、それぞれが同じミスを繰り返したとしたら、千回、怒らなくてはいけないことになる。それでは身体がいくつあっても足りません。浪曲のつくり話です。
そうではなくて、部下が間違ったことをしたり、見当違いのことを言ったりしたら、皆の前で怒るべきです。それをやっておけば同じミスを犯す人が出なくなります。
逆に褒める場合は、人前ではなく、こっそりやらなければならない。他の人が妬むからです。

全文はソースで
2019/12/23 11:00
https://president.jp/articles/-/31519