東京オリンピックの開催を控え、都心を中心に徐々に盛り上がりを見せている。それに歩調を合わせるように不動産価格も上昇。タワーマンション人気も健在で、新築マンションライフは憧れとなっている。一方で、「五輪後には価格は急落する」という話がまことしやかにささかれている。はたして、五輪イヤーとなる2020年の新築マンション事情はどうなるだろうか。



■ 労働力不足、働き方改革による労務費の上昇

「価格が下がる要因は少なくなっています。建築資材については、景気や為替の状況などから価格変動が生じる可能性がありますが、労務費の下がる可能性は少ないというのが実情です」と話すのは長谷工総合研究所、常務取締役の酒造豊氏。

労働力の高齢化は建築現場においても例外ではなく、職人の高齢化による長期的な人手不足、働き方改革の実現のために現場の週休2日制などで労務費が下がる条件は見当たらない。また、資材を運ぶ運転手が不足していることも影響し、運送費用なども上昇傾向にある。

さらに新築マンションの立地条件をみると、最寄り駅から徒歩5分以内といった利便性の高い物件が供給のトレンドとなっている。2000年には30%に満たなかった徒歩5分圏内の物件供給は2019年には44.7%。15.2%も上昇し、立地条件の面でもマンション価格が下がる可能性は少ない状況だ。

■ 値崩れ説の根拠 生産緑地法の指定解除の影響は

一方で、五輪後の2022年には生産緑地法の指定解除によって土地が大量に市場に供給される、という見方もあり「五輪後の値崩れ説」の根拠の1つとされることがある。しかし「生産緑地の分布状況(面積、最寄駅からの距離など)をみると、必ずしもマンション適地とはいえないものが多くなっています。土地の供給は増加するかもしれませんが、マンションの大幅供給増とはならず、マンション価格が低下するという状況は考えにくいのが実状です」(前出・酒造氏)。

■ 2020年は4000万円未満の供給数が増加

市場は五輪前、五輪後に大きく影響されることはなく、生産緑地法の指定解除も期待できない。では、いつが買い時か、については昔から言われている「買いたい時が買い時だ」となるようだ。これまで都内では、23区を中心にした都心部での供給が中心で、利便性の高い物件が供給の中心となっていた。それによって首都圏全体の新築マンション平均価格が6000万円程度に上昇。

しかし2020年は郊外地域で大規模物件の供給が予定されている。ファミリー層でも購入可能な価格帯(4000万円未満)での供給戸数が増加すると予想される。購入者の生活にマッチしている立地条件や周辺環境、マンション価格、仕様設備などを検討していく必要がある。

12/30(月) 14:30配信
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