https://www.sanspo.com/geino/news/20200104/tro20010405020002-n1.html
2020.1.4 05:02

前日産自動車会長、カルロス・ゴーン被告(65)がレバノンに逃亡した事件で、ゴーン被告が昨年12月29日昼頃、東京都内の住宅から1人で外出する姿が監視カメラに写っていたことが3日、関係者への取材で分かった。2日午前(日本時間3日未明)には、米国の広報担当者を通して逃亡を「自分1人で準備した」と声明を発表。これまで楽器の箱に隠れて住宅から移動したとされていた“シナリオ”が変わりそうだ。

 どうやって日本から逃亡したのか。情報が入り乱れている。

 ゴーン被告が昨年12月29日昼頃、港区の住宅から1人で外出する姿が玄関付近の監視カメラに写っていたことが、関係者への取材で判明した。24時間記録する監視カメラは保釈条件の一つとして設置されている。

 外出後に帰宅した様子も、外出時間帯の不審人物の出入りも確認されておらず、東京地検は別の場所で何者かと合流して関西空港に向かった可能性があるとみて捜査。警視庁と連携し、経路にある防犯カメラ映像の分析をすすめている。

 また、ゴーン被告は米国の代理人を通じて2日午前(日本時間3日未明)、声明を発表。逃亡について「自分1人で準備した」としたうえで、「日本からの出発に妻のキャロルやほかの家族が関与したとの報道は間違いだ」と主張した。

 2つとも、手の込んだ逃亡工作が行われたとの従来の報道を覆す内容だ。レバノンの現地メディアは、楽団のふりをしたグループが、ゴーン被告の住宅を訪れ、楽器の箱にゴーン被告が隠れて移動したと報じている。

さらに共同通信は2日に、ゴーン被告の友人、イマド・アジャミ氏の話として、同様の内容の記事を配信。同記事では楽団メンバーのうち、逃亡計画を知っていたのは2人で、1人は米警備会社所属の元米海兵隊員、もう1人はレバノンの警備会社員だとした。加えてフランス紙ルモンド電子版は12月31日に、逃亡は妻のキャロルさんが計画したと報じた。

 こうしたなか、ゴーン被告のレバノンの弁護団は、8日にも本人が記者会見を開くとしている。このほかにも、同国の英字紙デーリー・スターは3日までに、国際刑事警察機構(ICPO)に被告拘束を要請されたことを受け、レバノン当局が近くゴーン被告に接触し、詳しい事情を聴く方針と伝えた。逃亡劇の全貌が本人の口から語られるか。

★ゴーン被告声明“家族は何もしていない”

 ゴーン被告が2日(日本時間3日)に、米国の代理人を通じて発表した声明は次の通り。

 「私の日本からの出国に関し、私の妻のキャロルや他の家族が役割を果たしたという推測の報道が出ている。こうした推測は全て不正確で間違いだ。私は単独で出国の準備をした。私の家族は何の役割も果たしていない」

★関空ではプライベートジェットの荷物検査

 ゴーン被告は12月29日夜、関西空港から出国したとみられる。ゴーン被告が乗ったとみられるプライベートジェット機は、関空の専用ターミナルで出国審査や荷物の検査が行われた。荷物はスーツケースと高さ1メートルを超える大型ケースが数点ずつという。

 トルコのジェット機運航会社「MNGジェット」によると、同社が12月に手配した2機のジェット機が使われた。1機はアラブ首長国連邦(UAE)から大阪に向かい、その後トルコに飛行。もう1機はトルコからレバノンに飛んだ。