日に日に感染が拡大していく新型コロナウイルスの影響はIT産業にも及んでおり、世界最大級のスマートフォン関連技術の展覧会であるモバイルワールドコングレスの開催が中止となったり、GoogleなどのIT企業が中国オフィスを一時的に閉鎖したりしています。そんな中、Appleが投資家向けに「次の四半期の売上は当初の予想を下回る」と警告したことが明らかになりました。

Investor update on quarterly guidance - Apple
https://www.apple.com/newsroom/2020/02/investor-update-on-quarterly-guidance/

Apple warns revenue will be lower than expected because of coronavirus impact - The Verge
https://www.theverge.com/2020/2/17/21141346/apple-miss-revenue-guidance-coronavirus-constrained-iphone-supply

Appleは新型コロナウイルスの影響により、2020年度第2四半期(1〜3月)における売上は当初の予想以下のものとなるだろうと投資家に向けて発表しました。Appleは2020年1月28日に2020年度第1四半期(2019年10〜12月)の業績を発表しており、この時点でAppleは中国の旧正月に合わせた休暇状況などを反映し、2020年度第2四半期の業績予想を立てていました。

Appleが2020年第1四半期の業績を発表、iPhone 11人気から10兆円超の売上を記録 - GIGAZINE

しかし、当初の予想よりも新型コロナウイルスの影響が大きく、FoxconnなどのApple製品の製造を担当する工場の業務は遅れている模様。そのため、Appleは「2020年度第2四半期の売上予想を満たすことはできません」と述べています。

中国のハイテク工場に対しては、2020年1月末の時点で中国政府から工場を一時閉鎖するよう通達されていたことが明らかになっています。閉鎖が報じられた際、Foxconnは「新型コロナウイルスの発生によって製造のスケジュールを調整したり工場を閉鎖したりしない」と声明を発表しており、これは閉鎖期間が旧正月の休暇時期とかぶっているためでした。

新型コロナウイルスの影響でFoxconnやSamsungのハイテク工場に閉鎖命令 - GIGAZINE


Appleは2020年度第2四半期の売上が当初の予想を下回る理由として、「iPhoneの製造パートナーが中国・湖北省近くにあり、これらの工場は既に業務を再開しているものの、当初の予想よりもゆっくりとしたペースで業務は再開されています。製品の製造に関わるすべての人の健康と幸福こそが我々の最優先事項であるため、サプライヤーおよび公衆衛生の専門家と緊密に協議しています」と述べ、新型コロナウイルスの影響を考慮しながら徐々に製造業務を再開していくため、一時的にiPhoneの供給不足が生じ、これが売上に影響を及ぼすとしました。

もうひとつの理由としては、中国国内でのApple製品の需要が影響しているとのこと。中国では記事作成時点で多くの小売店舗が閉鎖されており、営業中の店舗であっても営業時間が短縮されており、顧客の来店数も非常に少なくなっているとのこと。小売店の業務自体も徐々に再開されているそうですが、可能な限り着実かつ安全に再開が進められることとなるのは明らかであるため、中国でのApple製品の売上にも大きな影響が出るとAppleは予想しているわけです。なお、中国のAppleオフィスおよびコンタクトセンターは通常営業を続けており、オンラインストアも正常に稼働中だそうです。


Bloombergが独自に入手したAppleのティム・クックCEOが従業員に宛てたメールには、「私は皆の献身・共感・理解、そしてケアに感謝したい」「我々の最大の懸念は、中国で働くAppleの従業員やパートナー、顧客、サプライヤーといったコミュニティを形成する人々です」と述べたことも明らかになっています。

なお、Appleは新型コロナウイルス対策に寄付を行うと発表していますが、新たに寄付金を当初の2倍に増額することも発表しています。
https://i.gzn.jp/img/2020/02/18/apple-warns-revenue-coronavirus/00_m.jpg
https://gigazine.net/news/20200218-apple-warns-revenue-coronavirus/