イタリアが感染源に

イタリアで新型コロナウイルス感染者が見つかって以来、公表される感染者数は日に日に増え、3月3日の時点で2036人が感染し、52人が死亡したと発表されている。

北イタリア、ミラノから南東へ約40キロ、ロンバルディア地方の小さな村に住むコードーニョの「ペーシェント・ゼロ」(イタリアで初めて確認された感染者)の病状が悪化したのは2月半ばを過ぎた頃だった。

現在も重症と伝えられる38才のユニリーバ・イタリー社の研究者は、2月のはじめに上海からミラノへ中華航空でやってきたイタリア人による感染したと思われる。

しばらくのあいだは症状が軽く、スポーツマンでもある男性は、2週間のあいだにマラソンに参加し、家族や知人など、複数の人々に会っていた。彼一人のために何人が感染したのだろうか。

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現在、イタリアではヴェニス郊外のヴェネト州と、ミラノの南東に位置するコドーニョの主に2つの地域でクラスター(複数の感染者)が見つかっている。

11の市町村はレッドゾーンに指定され、2週間の検疫期間中、約5万人が自治体から出ることができない。500人の警官が周囲を警備し、もし検疫を破った場合は、罰金が科される。
食材をはじめとする日常品は隣りの自治体の職員などがバス停のベンチに置いている。

ナイジェリアでも感染が認められたが、このケースでもイタリア人が休暇でイタリアを訪れたあと、ナイジェリアに仕事で戻った後、感染が認められた。

アラブ首長国連邦では、サイクリングの競技会のスタッフの中にイタリア人感染者が2人みつかり、早急に全員の宿泊ホテルが検疫状態になった。全員が検査されたが、そこでの感染はみつからなかった。

イタリア人、またはイタリアへの訪問者によって、ドイツ、オランダ、デンマーク、フランス、クロアチア、オーストリア、イスラエル、スペインなど11ヵ国へ感染が広がったと報道されている。

遠くはアフリカ大陸沖のスペイン、カナリア諸島のホテルで、休暇で滞在していたイタリア人医師が感染者と判明したことで、1000人のホテル客が検疫状態にある。

イタリアは、ヨーロッパにおける新型コロナウイルス感染のハブ(中心)となったようなものだ。

「検査をするから感染者数が増える」
日々、増える感染者の数にイタリア人のあいだでは「検査をするから感染者が増える」と批判が募っていった。日本とは正反対である。 

イタリアでは3月1日まで、わずか1週間のあいだに2万人を検査したという。しかし、陽性と出た感染者数のうち約80%が入院の必要のない軽症、あるいは無症状の感染者であることから、検査をしても大半は自宅待機となる。
であれば、症状がある人のみ検査をするべきではないか、ということだ。

このため、イタリアは感染の疑いのある場合、無症状の市民にも検査をしてきたが、今後は症状のある人々に限り、検査を制限するというから感染者の上昇は緩やかになるかもしれない。

一方、韓国でも宗教団体の集会で集団感染が認められて以来、感染者の数は急激に増加し、3月3日の時点で4812人、28人死亡と発表されている。

韓国は、1日7500人分の検査の検査が可能というから、日本に比べると驚異的な数で検査が進めれられている結果だろう。

これまでに日本とアメリカでの検査数は人口比に対してもかなり少ないことが報道されている。2月下旬で検査の総計が450件あまりというアメリカは、検査数があまりにも少ない。

日本では、PCR検査自体の感度を疑う意見や検査をしても正確な結果とならない可能性などについても議論が続けられている。

しかし、検査を増やさないかぎり、感染者がどこにいるかもわからない。より多くの感染者が判明すれば、感染者が自覚なしで他者に感染させることを少しでも抑制できるのではないだろうか。

ある国は検査の数が少ないと批判され、ある国は検査をしすぎるために批判が強まる。

PCRテスト数は国によってあまりにも格差が大きい。


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2020年3月4日 6時0分 現代ビジネス