新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、東京都が週末の外出自粛要請をしたことで、スーパーや米穀店で米を買いだめする動きが起きている。米業界は26日、消費者に冷静な対応の呼び掛けを一斉に展開した。一方で、米の供給を途切らせないように出荷態勢を整え、一時的な品薄による混乱の沈静化に動く。

 全農パールライスや米卸の団体・全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)が26日、「国産米の供給力は十分」として冷静な購買行動を呼び掛けるメッセージをホームページに掲載した。「一時的に購入が集中し購入しにくくなっているが、物流が整い次第届く」と説明。精米してから時間がたてば食味に影響するため、大量購入を避けるように求めた。JA全農は同日、原料玄米を途切れることなく卸などへ迅速に供給するよう、各県本部や経済連に要請した。

 大手米卸は、買いだめの発生を受けてスーパーなどからの注文が増え、精米生産の効率を高めるため「あきたこまち」など銘柄数を絞って生産する対応も取っている。

 別の大手卸も、精米工場はフル稼働状態で「物流が追いつかなくなる懸念はあるが、精米生産は問題ない」と話す。

 米穀店の山田屋本店(東京都調布市)は「通常の2、3倍の売り上げになっている」と話す。ただ、会社の倉庫には在庫が潤沢にあり、品薄となる店頭に27日には精米商品を補充できるとみる。

 パックご飯の大手メーカー・テーブルマークは「例年を超える注文量を受けており、できる限り生産能力を上げて対応している」とする。買いだめに限らず、休校などにより家庭での消費が増え「元々伸びている市場が、新型コロナウイルスの影響で大きく伸びた」という。

 米穀機構の調査によると、2月の家庭消費量は1人当たり3234グラムで前年同月から2%増えた。家庭内在庫量は6・3キロで前月から横ばい。過去5年は1月から2月にかけて在庫量が減る傾向にあったが、今年は横ばいとなっている。

 3月は家庭向けの販売がさらに伸びるとの見方があるが、その反動や、業務筋の販売不振など、先行きに不透明感が出ている。

日本農業新聞
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