経営幹部らが多額の金品を受け取っていた問題で、関西電力は社外取締役の権限を強めることなどを柱とした業務改善計画を30日、経済産業省に提出しました。

関西電力の森本孝社長は30日午後、経済産業省を訪れ、資源エネルギー庁の高橋泰三長官に計画を提出しました。

この中ではまず経営責任を明確にするため会長や社長の辞任や役員の報酬返上に加えて、新たに82人の処分を盛り込みました。またガバナンスの機能不全を是正するため、社外取締役の権限を強めることにしています。

3つの委員会からなる「指名委員会等設置会社」に6月の株主総会で移行します。3つの委員会はそれぞれ過半数が社外取締役で構成され、外部から監視の目が届くようにするねらいがあります。

金品受領の背景には、工事の発注プロセスの透明性が欠けており、大半は原子力部門で行われていたとしています。

このため計画ではこれまで原子力発電所など工事を担当する部門がもっていた契約権限を縮小し、調達部門に移すことを明記しています。

また福井県美浜町にある原子力事業本部にコンプライアンスの担当者を置き、定期的に大阪の本店の会長や役員に報告することや、この事業本部に原子力事業以外の人材の受け入れを進めて、組織の閉鎖性を払拭(ふっしょく)することを目指すとしています。

新会長に榊原元経団連会長が就任へ
関西電力は、一連の問題が発覚し去年10月から空席となっていた会長について、経団連の会長などを務めた榊原定征氏が内定する人事を発表しました。

榊原氏は77歳。繊維・化学大手の「東レ」の社長や会長を歴任し、その後、平成26年からおととしまで財界トップの経団連会長を務めました。

6月の株主総会をへて取締役会長に正式に就任する予定です。
森本社長「信頼を裏切り深くおわび」
関西電力の森本孝社長は30日夕方、大阪市の本店で記者会見を開きました。

この中で森本社長は「顧客や社会の皆様の信頼を裏切り、多大なご迷惑をかけていることを改めて深くおわび申し上げます」と述べ、謝罪しました。

関西電力は業績が悪化していた時期に役員報酬の一部をカットし、その後退任した18人の役員に対してひそかに補填(ほてん)していました。

これについて森本社長は「会社として正当性を認めることはできない」と述べ、全額の自主返納を要請する考えを示しました。

一方、18人のうち森元相談役と豊松元副社長以外の16人の氏名については、プライバシーの観点を理由に公表をかたくなに拒みました。

森本社長は「今後、業務改善計画に即した具体的な施策を決定し、実行に全力を尽くしていくことで顧客や社会の皆様から関西電力が変わった、信頼できると感じてもらえる全く新しい会社を創生していく」と経営改革への決意を述べました。

2020年3月30日 18時24分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200330/k10012357471000.html
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