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 福島県飯舘村に新設された義務教育学校の開校式には、首都圏からの来賓を含め200人超が出席した。
新型コロナウイルスの感染拡大を念頭に、保護者の一部が事前に、式の延期を村や村教委に求めていた。
当日の出席者からも村側の感染対策に疑問の声が相次いだ。

会場の体育館で、村は来場者全員に検温やマスク着用を求めた。
約50分間の式中は2階の窓の一部と出入り口が開放されたが、空気の流れを感じられるほどではなかった。
来賓らは約60センチの間隔で着座し、出席者を遺族代表ら5人に絞り込んだ3月11日の県追悼式とは一線を画した。

来賓の約50人には文部科学副大臣の亀岡偉民衆院議員(比例東北)、県教委の鈴木淳一教育長も含まれた。
前日までに県内最多の6人の感染が確認された隣の南相馬市から、太田光秋県議会議長が来場。
村教委によると、首都圏からは5人程度が出席した。

保護者の女性の一人は取材に「規模縮小すると聞いていたが、県外も含めて大勢の来賓がいる。換気や座席間隔も十分ではなく、不安が大きい」と述べた。
義務教育学校の前身の小学校で3月までPTA会長を務めた男性は「感染者が日増しに拡大する状況で挙行するのはおかしい」と憤る。
1日に南相馬市初の感染者が出てから再三、村側に延期を要請していた。
男性は「感染対策として親子で出席を見送った人もいる。誰のための開校式か分からず、少なくとも首都圏からの来賓は自粛すべきだった」と語った。

村教委の担当者は式後の取材に「さまざまな声は当然ある。村としては対策を徹底し、人の密集は起きないと判断した」と述べた。
新型コロナの感染拡大を受け、内堀雅雄福島県知事は県民に首都圏などへの不急の往来を控えるよう要請している。
小池百合子都知事は都民に対し、外出自粛を呼び掛けている。

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